- 382 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:03:11.06 ID:gFjt7120
- このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレの外伝であり、
柳生一族と関連のある物事についてあれこれ紹介するスレです。
【今回のメイン柳生:なし】
,ヘ
____ / /
/\ /\ / / いま せーんごーくと ひとのいう~
/( >) (<)\/ / こらーえて いーきて じゅーよーねん~♪
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
| |r┬-| | あああぁ~
\ ` ー'´ / ●ォ、_ よもすえーのー らんせーいーに~♪
/ \ ”¶ト.
/ \ .||
/ /\ ヽ .||
/ \ ノ .||
- 383 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:05:41.42 ID:gFjt7120
- /||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::||/ ̄ ̄\|| ガチャ
|:::::::::::::::|| _ノ \\
|:::::::::::::::||( ●) (●)| 調子よさそうだなオイ。
|:::::::::::::::|| (__人__) |
|:::::::::::::::|| ` ⌒´ |
|:::::::::::::::|| }
|:::::::::::::::|| }
|:::::::::::::::||ヽ___ ノ
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . || 立て!竹千代!行け!竹千代!
|:::::::::::::::||/ || 夜明けは目の前じゃ!>
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ||
\ ::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\|| - 384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:08:05.29 ID:RELsc1M0
- 少年徳川家康wwwwwwww
- 385 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:08:15.97 ID:gFjt7120
- *o ゚ |+| 。*゚ +゚ } o |* o。! |!
o○+ | ∨ | {r|! *l: + |!*l::j o ○。
・+ ,-i| o.+ ___ 。*゚}‐ 、゚ + |
゚ |i | {r|! *l: /_ノ ' ヽ_\ ノヾ} |
o。! |! * .゚ /(≡)::::::(≡)\ レ ノ ゚| やらない夫!
。*゚ l ・ / /// (__人__) ///\o ゚。・ ゚ 一人カラオケは最高だお!
*o゚ | | |r┬-| | *|
。 | ・ o ゚ l\ ` ー'´ /*゚・+゚ ||
|o |・゚ ,.‐- .ハ イ | * ゚ |
* ゚ l| / 、` ニ ´ ノ ノ o.+ | ・
|l + ゚o i ` -、{! /_ \ ○・ |o゚
o○ | | ヽ. ヾ´  ̄ `ヽ *。
・| + ゚ o } } ヽ O。
O。 | | リ、 ..::: .. l 。
o+ |!*。| / `ー:::: , ヘ:::::.. | *
|・ | ゚・ |/ / :::... .. /:::/ | ::..... { |
|_|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_|
>
/\ ──┐| | \ ヽ| |ヽ ム ヒ | |
/ \ / / | ̄| ̄ 月 ヒ | |
\ _ノ _/ / | ノ \ ノ L_い o o
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) | いきなりテンション高ぇな、おい。
. | (__人__) u│ カラオケといえば、前は俺と一緒だったたのに…。
| `⌒´ |
. | | …そんなに楽しいのか?
. ヽ /
ヽ /
> <
| |
| | - 386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:09:27.29 ID:4NWOrEA0
- のりまくりですなwwwwww
- 387 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:10:12.48 ID:gFjt7120
- ___
/ ⌒ ⌒\
/ (⌒) (⌒)\ やる夫もここまで爽快とは思わなかったお!
/ ///(__人__)///\ ウチの近所だと平日昼は30分50円+ワンドリンクだから
| `Y⌒y'´ | 500円以下で済むんだお!
\ ゙ー ′ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ 昼休みに30分だけ思いっきり唄って、
/ rー'ゝ 〆ヽ 残り30分で昼飯を食うんだお!
/,ノヾ ,> ヾ_ノ,|
| ヽ〆 |´ |
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(● 30分か…。
| (__人__) 少し余裕を見ても、5曲は唄えるな。
. | ノ
| ∩ ノ ⊃
/ ./ _ノ
(. \ / ./_ノ │
\ “ /___| |
. \/ ___ / - 388 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:12:03.56 ID:gFjt7120
____ 一人で続けて唄うんだから、
/ ⌒ ⌒ \ それくらいでちょうどいいお!
./( ―) ( ●) \
/::⌒(_人_)⌒::::: | テンション高めの歌なら5曲も連続で歌えば十分だし、
| ー .| ストレス解消にちょうどいいんだお!
\ /
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \
(⊃ ( ⌒)(⌒) そんな風に勧められたら気になるだろ…。
| (__人__) 今度、俺もやってみるかな。
| ` ⌒´ノ
| } \ あ、最後の一曲は一緒に唄わせてくれよ。
/ヽ } \
/ ヽ、____ノ )
/ . | _/
| / ̄ ̄(_)
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ じゃあ「鋼鉄ジーグのうた」でも入れるお!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| /| | | | | |
\ (、`ー―'´, /
 ̄ ̄ ̄- 389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 21:14:09.42 ID:eAyTWeMo
- おーい、二人とも、もうカメラまわってるぞーw
- 392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 21:17:00.75 ID:QjWfC.go
- 鋼鉄ジークwwwwwwwwww
- 390 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:14:18.17 ID:gFjt7120
お前それ、
俺はバンバンバラバラ言うだけじゃねえか!
___
/ \ ___
/ノし u; \ ;/(>)^ ヽ\;
| ⌒ ) ;/ (_ (<) \; わ、わかったお…!
| 、 );/ /rェヾ__)⌒::: ヾ; じゃあ、「ガンバの冒険」を二人で唄うお…!
| ^ | i `⌒´-'´ u; ノ;;
| | \ヽ 、 , /;
| ;j |/ \-^^n ∠ ヾ、
\ / ! 、 / ̄~ノ __/ i;
/ ⌒ヽ ヽ二) /(⌒ ノ
/ r、 \ / ./  ̄ ̄ ̄/- 391 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:15:11.28 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ _ノ' ,,\
| ( ●)(●) まあ、そっちならまだいいかな。
. | (__人__) しかし、「少年徳川家康」といい、
| `⌒´ノ どういうチョイスなんだよ、今日は…?
| ノ
ヽ }
ヽ ノ ●ォ、_
/⌒Y◆・◆、 ”¶ト.
/ y |。=, \. ||
ノ ,/___,ン)_|,、 ソ'~,‐っっ||
(_"___リ_ソ `ー─iソ´~ ||
__ _
_,rーく´\ , --、 /⌒ ⌒ \ 今日は75年のアニソン&特ソンしばりなんだお!
,-く ヽ.\ ヽ Y´ / /(●) (●) \ でも、「少年徳川家康」の主題歌が入ってたのは
{ -! l _」_ノ‐′/ / (__人__) \ 予想外だったお。
ヽ ゙ー'´ ヽ / | . `Y⌒y'´ |
ゝ、 ノ_ イ \ ゛ー ′ ,/ じゃあ、唄うお!
ヽ | / ー‐ ヽ- 393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:17:16.46 ID:4NWOrEA0
- 俺が生まれる10年前の曲か…
- 394 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:18:04.64 ID:gFjt7120
- カラオケ終了後-
___
/ \
/ ⌒ ⌒\
/ ( ⌒) (⌒)\ あースッキリしたお。
i ::::::⌒ (__人__) ⌒:: i
ヽ、 `ー ' /
/ ┌─┐
i 丶 ヽ{ .茶 }ヽ
r ヽ、__)一(_丿
ヽ、___ ヽ ヽ
と_____ノ_ノ
/ ̄ ̄\
. ./ _ノ ヽ
| ( ⌒) (⌒) まったくだな。
| (__人__) ∫ さて、スッキリしたところで、本題の話を始めようか。
| `⌒´ノ ∬
. ヽ } | ̄|
ヽ ノ |_|)
____/ イー┘ |
| | / / ___/
| | / / |
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| - 395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:19:20.27 ID:4NWOrEA0
- 待ってましたっ!
- 396 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:19:56.44 ID:gFjt7120
- ., ──‐、
/ \
. .| ⌒ ⌒
| ( ●) (●) さて、今回は、
| (__人__) , -―ーっ 「活人剣・治国平天下の剣」の礎となった「剣・禅・政」の三要素のうち、
| `⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ 「禅」について話をすることにする。
. ン } ゙| ̄'|
/⌒ヽ、 ノ .|, | まあ、「剣禅一致」の元について、というところだな。
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' ∫
| | / / r_____ ∬
| | / / |i ┌‐┐
| | ( 〆⌒'──r─≒、.((| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄└‐┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_∩
/ 〉〉〉
{ ⊂〉 ____
| | /⌒ ⌒ \
| | /(●) (● ) \
宗矩と禅といえば…沢庵和尚の話かお? | |/:::⌒(__人__.)⌒::: \
ヽ | |,┬‐ | |
\.\ `ー ´ /
\ __ ヽ
ヽ (____/
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 そうだな。
| ( ●)( / .\` 、 . // / ここでは「活人剣・治国平天下の剣」に
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ 直接影響を与えたと思われる沢庵和尚の著作、
| ` / ``77 / 『不動智神妙録』をテキストとして話を進めるぜ。
. ヽ / / / /
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./ まあ、実際には題名はついてないんだが、
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / 通称として通りがいいから、それで通すことにさせてもらう。
|. \ 〈\.\,〉 `, f
| . \ (ヽ ヽ `.. | では、早速解説しよう。
| .\ \ ノ - 397 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:23:04.27 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『 無明住地煩悩
| |不| . |_|
| |動| . |_| 無明とは、明(あきらか)になしと申す文字にて候。
| |智| .|_| 迷ひを申し候。
| |神| .|_| 住地とは、止る(とどまる)位と申す文字にて候。
| |妙| .|_| 仏法修行に五十二位と申す事の候。
| |録| .|_| その五十二位の内に、物毎に心の止る所を住地と申し候。
|.  ̄ .|_| 住は止まると申す義理にて候。
|________.|_| 止ると申すは、何事に付いても其事に心を止る(とどむる)を申し候』
└───────
/ ̄ ̄\
/ - - \
| (●)(●) | まず、沢庵は冒頭で、問題提起を行なう。
| (__人__) | 即ち、
| `⌒´ │
| .| 『無明住地煩悩』=「迷い、こだわりにとらわれた心」
ヽ /
ヽ ノ という心を取り上げ、
_/ l__ これを「問題」として持ち出すんだ。
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒)
___
/)/ノ ' ヽ、\ こいつは『兵法家伝書』でも
/ .イ '(●) .(●)\ 散々に出てきた問題だお。
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` | あっちでも、その心にはなるなと
. \ ヽ / 口を酸っぱくして宗矩が言ってたお。- 399 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:25:58.03 ID:gFjt7120
- | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『貴殿の兵法にて申し候はゝ、
| |不| . |_| 向ふより切太刀を一目見て、其儘(そのまま)にそこにて合はんと思へは、
| |動| . |_| 向ふの太刀に其儘に心が止りて、手前の働(はたらき)か抜け候て、
| |智| .|_| 向ふの人にきられ候、是れを止る(とどむる)と申し候』
| |神| .|_|
| |妙| .|_|
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ そして、「止る」ことが具体的にどうマズいのかを、
| (●)(●) | 兵法…即ち、ここでは剣術を例えに使って説くんだ。
. | (__人__) |
| `⌒´ ノ 「相手の刀に心がとらわれると、
. | } 動きが自由にならなくなり、遂には斬られてしまう。
. ヽ } このことを「止る」という」
ヽ ノ
/ く という形で、一つの事にこだわり、
| \ 心がとらわれることの害を具体的に説いたわけだな。
| |ヽ、二⌒)
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ 確かに、こういう風に言われるとわかりやすいお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ すんなりと「”止る”のはよくない」と理解できるお。
| |r┬-| |
\ `ー'´ / - 400 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:28:19.87 ID:gFjt7120
- | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『打太刀を見る事は見れども、そこに心をとめず、
| |不| . |_| 向ふの打太刀に拍子合はせて、
| |動| . |_| 打たうとも思はず、思案分別を残さず、
| |智| .|_| 振上ぐる太刀を見るや否や、心を卒度止めず、
| |神| .|_| 其のまま付入て、向ふの太刀にとりつかは、
| |妙| .|_| 我をきらんとする刀を、我が方へもぎとりて、
| |録| .|_| 却て向ふを切る刀となるべく候』
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
., ──‐、
/ \ では、「止る」がダメとすれば、
. .| _ノ ヽ どうすればいいのか、ということについて、
| ( ●) (●) 沢庵はここで、
| (__人__) , -―ーっ
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ 「心をとめず」
. ン } ゙| ̄'| 「思慮分別を残さず」
/⌒ヽ、 ノ .|, | .「心を卒度も止めず」
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' |
| | / / r____/ と何度も繰り返して、
| | / / |i 「こだわらないこと」が重要である事を説いている。
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【問題】
____ 「”止る”と斬られるが、この場合、どうするべきか?」
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 【回答】
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 「心を一つの事に留めず、こだわらないようにするのだ」
| |r┬-| |
\ `ー'´ / ってことかお。
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ スピード回答だお。
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ しかし、「我をきらんとする刀を、我が方へもぎとりて」って、
なんだか「無刀」のことみたいだお。 - 401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 21:30:35.43 ID:x.bFmHgo
- クラウザーさんは相手の刀までレイプしちまうんだぜ
- 402 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:30:53.13 ID:gFjt7120
- | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『禅宗には是を、還把鎗頭倒刺人来ると申し候。
| |不| . |_| 鎗はほこにて候。
| |動| . |_| 人の持ちたる刀を我か方へもぎ取りて、
| |智| .|_| 還て相手を切ると申す心にて候。
| |神| .|_| 貴殿(宗矩)の無刀と披仰候事にて候』
| |妙| .|_|
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ ,.:┐
.( ●)( ●) ..| / | その通りだ。
(__人__) .|./ / 実際、続けて沢庵は「無刀」についても触れている。
i⌒ ´ .r-、 |/ /
{ ヽ, ',. .,/ :/', 「人の持ちたる刀を我か方へもぎ取りて、
.ヽ .| l_/_, -‐、', 還て相手を切ると申す心にて候」
.ヽ . | / , --'i|
/ { V , --ヘ の具体例として「無刀」を挙げているんだな。
| ヽ L| r= |
. ___
「お前(宗矩)が言ってる”無刀”の心得が、 / ヽ、_ \
即ち、”心をとどめず”ということだよ」 .. /(● ) (● ) \
. /:::⌒(__人__)⌒::::: \
ってことかお。 . | l^l^lnー'´ |
しかし、和尚も無刀のことを知ってるとか、 \ヽ L /
結構有名だったんだお…>宗矩の無刀 . ゝ ノ
/ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(● いや、この話の流れだと、
| (__人__) 無刀の心得についても知っていないとダメだから
. | ノ むしろ、それだけ宗矩と沢庵の間で
| ∩ ノ ⊃ 深い交流があった、という見方もできると思うぜ。
/ ./ _ノ
(. \ / ./_ノ │ まあ、両方とも合ってそうな気もするけどな。
\ “ /___| |
. \/ ___ / - 403 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:33:38.18 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『向ふから打つとも、吾から打つとも、
| ._ .|_| 打人にも打太刀にも、程にも拍子にも卒度も心を止めば、
| |不| . |_| 手前の働は皆抜け候て、人に切られ可申候。
| |動| . |_|
| |智| .|_| 敵に我か身を置けば敵に心を取られ候間、
| |神| .|_| 我が身にも心を置くべからず。
| |妙| .|_| 我が身に心を引きしめて置くも、
| |録| .|_| 初心の間、習入り候時の事なるべし。
|.  ̄ .|_|
|________.|_| 拍子合に心を置けば拍子合に心をとられ候、
└─────── 我が太刀に心を置けば我が太刀に心をとられ候、
これ皆心のとまりて手前ぬけ殻になり申し候』
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ( ;;;;( この辺りはおさらいだな。
| ( ─)(─ ) ;;;;)
| (__人__) /;;/ 「相手から打ってこようが、自分から打とうが、
. | ノ l;;,´ あるいは身でも刀でも、または拍子でもなんでも、
| ∩ ノ)━・' 何かに心が「止る」と、動きが自由でなくなり、斬られてしまう」
/ / _ノ´
(. \ / ./ │ と強調している。
\ “ /___| |
. \/ ___ /
____
/ _ノ ヽ_\
. / (ー) (ー)\ まあ、これだけ繰り返して言われたら、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \
ヽ L |r┬-| | 「何か一つに心が止るのはよくない」
ゝ ノ `ー‐' /
/ / \ というのが肝心ってことは、やる夫でもわかってくるお。
/ / \ 念の入った話だお。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 404 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:36:02.11 ID:gFjt7120
- | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『貴殿御覧可有候、仏法で引当て申すにて候。
| |不| . |_| 仏法には此の心の止る心を迷(まよい)と申し候。
| |動| . |_| 故に、無明住地煩悩と申すことにて候』
| |智| .|_|
| |神| .|_|
| |妙| .|_|
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) そして、この段落(無明住地煩悩)の最後は、
| (●)(●)/;;/
| (__人__)l;;,´| 「お前(宗矩)にもそういう経験があると思うので、
| ./´ニト━・' .l それを仏法に当てはめて説明してみた。
| .l _ニソ } 今言った物事は、仏法だと「迷」といい、
/ヽ、_ノ / 「無明住地煩悩」と言うのだ」
__/ / ノ__
/ / / `ヽ. という形でまとめている。
/´ ./ ,. ヽ. つまり、剣を通じて仏法(禅)を説いたわけだ。
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/ \
/_ノ ヽ_ \
つまり、「剣禅一致」ってことかお? / (●) (●) \
| (__人__) |
\ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \
| .(●)(●) | 正確には「これ”も”剣禅一致」というところだな。
. | (__人__) | 「剣禅一致」の一側面として、
| `⌒´ | ) ;;;;) 剣を通じても仏法を語ることは出来る、というわけだ。
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/ - 405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:37:40.36 ID:4NWOrEA0
- 殺生の道具である剣で、殺生を禁じている仏法を語る事ができるのはすごいな。
- 406 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:38:06.52 ID:gFjt7120
…と、まあ、ここまでが最初の一段落目だ。
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \ この後も、和尚は何度も繰り返して
i ! | (●)(●) | 仏法(禅)を、兵法(剣)の話で例えながら、
r;r‐r/ |. | (__人__) |
〈_L (`ヽ .} | `⌒´ ノ 「一つの事にとらわれない自由な心の重要性」
l` ( ``/ . | }
ヽ l . ヽ } を説いていく。
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ その結果として…
... (ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \
「剣も禅も極まるところは同じではないのか」 . /( ●) (●)\ )
「剣の極致は禅に通じるのではないか」 . ./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
... | (⌒)|r┬-| |
と、読み手が自然に思うようになってくる… ,┌、-、!.~〈 `ー´/ _/
ってわけかお? | | | | __ヽ、 /
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄
/ ̄ ̄\
/ - - \
| (⌒)(⌒) | そういうことだ。
| (__人__) | 沢庵はここで、既存の禅と剣について、
| `⌒´ │ その共通性を証明してみせたわけだな。
| .|
ヽ / そして、それこそが宗矩が沢庵に求めていたもの…
ヽ ノ 即ち「剣禅一致」であったわけだ。
_/ l__
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒)- 407 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:40:18.77 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 実際、この証明こそが「剣禅一致」を成立させる上で、
| ( 一)(●) 宗矩にとって最大の問題だっただろうと思われる。
| (__人__) 「ある境地に達する」事と、
| `⌒´ノ 「それを説明できる」事は別だからな。
| ,.<))/´二⊃
ヽ / / '‐、ニ⊃ 宗矩本人が「剣禅一致」の境地に達していたとしても、
ヽ、l ´ヽ〉 あくまで宗矩は武士で、剣士だ。
''"::l:::::::/ __人〉 剣はともかく、禅について説くには、
:::::::::|_/ヽ. /|||||゙!:゙、-、_ どうしたって知識が足りないわけだ。
:::::::/´∨/`ー'〉゙||i l\>::::゙'ー、
:::y′.: ',ゝ、_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
/: ://: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
現代で言えば、
専門職同士だとお互いの作業のことが . ___
わかるのはある程度まで、ってことかお? /)/ノ ' ヽ、\
. / .イ '(●) .(●)\
プログラマが絵を描くにしても . /,'才.ミ). (__人__) \
限度があるって感じだお。 . | ≧シ' ´ ⌒` |
絵が要るならデザイナーに頼めって話だお。 . \ ヽ /
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \
(⊃ ( ●)(●) まあ、例えとしてはそんなもんだな。
| (__人__)
| ` ⌒´ノ だからこそ宗矩は、
| } \ 「禅の専門職」である禅僧・沢庵に、
/ヽ } \ 「剣禅一致」の証明への助力を求め、
/ ヽ、____ノ ) 沢庵がそれに応えた結果が、
/ . | _/ この『不動智神妙録』、ということだ。
| / ̄ ̄(_)
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)- 408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:42:03.47 ID:RELsc1M0
- そういや、「奥伝については禅坊主に解説頼め」っていう流派があったとかなんとか。
- 409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:42:51.92 ID:4NWOrEA0
- 本職でも禅を語れる人はほとんどいないみたいだからなあ
沢庵と知り合えたのは本当幸運なんだな。 - 410 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:43:13.95 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) さて、この『不動智神妙録』は
. | (__人__) こういう風に複数の項目(全部で13個)で構成されているんだが、
| ` ⌒´ノ キモとなる部分は、今、述べた通りだ。
.l^l^ln }
.ヽ L } なので、この後は、今の話の補足になる事項を拾いながら
ゝ ノ ノ 進めていこうと思う。
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
____
/ \
/ ─ ─ \ まあ、全部でやったら、また『兵法家伝書』の時みたいに
/ -=・=- -=・=- \ 分割になりかねないからお…。
| (__人__) U | これ以上話が伸びるのは流石に勘弁だお。
\. `⌒´ /- 411 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:46:03.60 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『諸仏不動智
| ._ .|_| 諸仏不動智と申す事は、
| |不| . |_| 不動とはうごかずといふ文字にて候。
| |動| . |_| 智は智慧の智にて候。
| |智| .|_|
| |神| .|_| 不動と申し候ても、石か木かのやうに
| |妙| .|_| 無性なる義理にてはなく候。
| |録| .|_| 向ふへも左へも右へも、
|.  ̄ .|_| 十方八方へ心は動き度(た)きやうに動きながら、
|________.|_| 卒度も止まらぬ心を不動智と申し候』
└───────
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(● さて、さっきの「無明住地煩悩」の次が、
| (__人__) この「諸仏不動智」だ。
. | ノ 『不動智神妙録』のタイトルは、
| ∩ ノ ⊃ こいつから採られている。
/ ./ _ノ
(. \ / ./_ノ │
\ “ /___| |
. \/ ___ /
____
ここでは、 /⌒ ⌒\
/( ー) (ー) \
「とらわれぬ自由な心」=「不動智」 /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
と言ってるわけかお? . \ `ー'´ /
「目指すべき境地」に「不動智」という r´、___∩∩__, /
具体名を与えたわけだお。 . \__ ´人 ` _ノ
ヽ  ̄  ̄ |
つまり、「無明住地煩悩」を抜けて、 . | /
「不動智」に達せよ、というわけだお。 . | r /
ヽ ヽ/
>__ノ;:::......
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) そういうことだな。
. | (__人__) 『兵法家伝書』だと、
| ` ⌒´ノ 「平常心」と形容された境地のことだな。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |- 412 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:49:02.58 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『千手観音とて手が千御入候は、
| ._ .|_| 弓を取る手に心が止らば、
| |不| . |_| 九百九十九の手は皆用に立ち申す間敷候。
| |動| . |_| 一所に心を止めぬにより、手が皆用に立つなり。
| |智| .|_| (中略)
| |神| .|_| 是れを得心したる人は、即ち千手千眼の観音にて候。
| |妙| .|_|
| |録| .|_| 然るを一向の凡夫は、
|.  ̄ .|_| 唯一筋に身一つに千の手、千の眼が
|________.|_| 御座して難有(ありがたし)と信じ候。
└─────── 又、なまものじりなる人は、
身ひとつに千の眼が何しにあるらん、虚言よと
破り譏る(そしる)なり』
____
/ \ これは…前半はいつも通り
. / \ 「千手観音も心をひとつにとどめないからこそ、
. / /) ノ ' ヽ、 \ 千手全てを用いる事が出来るのだ」てな話だけど、
| / .イ '=・= =・= u| 後半はなんだおこれ?
/,'才.ミ) (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \ 素人よりも半可通の方がタチが悪い、って話かお?
/\ ヽ ヽ 何で和尚がこんなこと言ってんだお?
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒) まあ、具体的な話は避けるが、
. | u (__人__) いつの時代も似たようなもんだってことだな。
| |r┬|}
| | | |} とりあえずこいつはただの枕だ。
. ヽ `ニ} 本題は次になるんだ。
ヽ ノ
/ く \
| \ \
| |ヽ、二⌒)、- 413 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:51:19.87 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『今少し能く知れば、凡夫の信ずるにても破るにてもなく
| ._ .|_| 道理の上にて尊信し、
| |不| . |_| 仏法はよく一物にして其理を顕す事にて候。
| |動| . |_|
| |智| .|_| 諸道ともに斯様の物にて候。
| |神| .|_| 神道は別して其の道と見及び候。
| |妙| .|_|
| |録| .|_| 有の儘に思ふも凡夫、又打破れば猶悪し。
|.  ̄ .|_| 其の内に道理有る事にて候、
|________.|_| 此の道、彼の道
└─────── .さまざまに候へとも、極所は落着候』
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (●)(●)/;;/ さっきの話はあくまで前置きだ。
| (__人__)l;;,´| 本題はこっち…つまり、道理を極めれば、
| ./´ニト━・' .l より深く通じることが出来るし、
| .l _ニソ } それは仏法に限らず、諸道全て同じだ、ということだな。
/ヽ、_ノ /
__/ / ノ__ そして、この「諸道」には
/ / / `ヽ. 剣術だって含まれる…というわけだ。
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/_ノ ヽ_\
/( >) (<)\ なるほど…。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 『不動智神妙録』内での
| |r┬-/ | 「剣禅一致」に通じる具体的な話ってわけだお。
\ ` ̄'´ /- 414 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:53:19.49 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『扨(さて)、初心の地より修行して
| ._ .|_| 不動智の位に至れば、立帰て
| |不| . |_| 住地の初心の位へ落つべき子細御入り候。
| |動| . |_| 貴殿の兵法にて可申候。
| |智| .|_| (中略)
| |神| .|_| 故に初の住地の、無明と煩悩と、
| |妙| .|_| 後の不動智とが一つに成りて、
| |録| .|_| 皆智慧働の分は失せて、無心無念の位に落着申し候。
|.  ̄ .|_| 至極の位に至り候えば、手足身が覚え候て、
|________.|_| 心は一切入らぬ位になる物にて候』
└───────
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 次の話だが、前に少し書いた
| ( ●)(●) 「何も知らない故の無心」…「無明」と
. | (__人__) 「至極の域に達した故の無心」…「不動智」について
| ` ⌒´ノ ここではその違いを説明している。
. | }
. ヽ } 「無心」という意味では似たようなところがあるが、
ヽ ノ 「不動智」を得た者は、もはや意識せずとも手足が働く、
.> < という面で全く異なる、というわけだな。
| |
| |
____
/ _ノ ヽ_\ まあ、そりゃそうだお。
. / (ー) (ー)\ 知らない故の気楽さってのは確かにあるお。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \
ヽ L |r┬-| | 分かることがある程度ある方が、
ゝ ノ `ー‐' / 何も知らないより悩みやすいのはよくあることだお。
/ / \ 突き抜けるまでは苦労は続くわけだお。
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 415 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:56:17.86 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『理の修行、事の修行と申す事の候。
| ._ .|_| 理とは右に申し上げ候如く、至りて何も取合わず。
| |不| . |_| 唯一心の捨てようにて候。
| |動| . |_| 段々右に書付け候如くにて候。
| |智| .|_|
| |神| .|_| 然れども事之修行を不仕候得ば、
| |妙| .|_| 道理ばかり胸に有りて、身も手も不働候。
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_| 事之修行と申し候は、貴殿の兵法にてなれば、
|________.|_| 身構えの五箇に一字のさまざまの習事にて候。
└─────── 理を知りても、事の自由に働かねばならず候。
身持、太刀の取りまわし能く候ても、
理の極り候処の闇く候ては、相成間敷候。
事理の二つは車の輪の如くなるべく候』
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| (⌒ )(⌒) これは次の項目で「理の修行、事の修行」という。
| (__人__) 話の中身は、
| ` ⌒´ノ
| } 「理屈だけ、あるいは技だけなど、
ヽ ヘミ| どちらか片方だけでは不十分だ。
/,` 、` -`,--` , 両方やれ」
__,---/;;;;;` `-,-/ニニ |
/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,>、 /::l,_l・ ,<、__ という話だが、心法を説いたこの書において、
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::<:::::::ヽ``l::::| |`l,::::ヽ この「事理一致」の警告があるのは、なかなか面白いな。
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::\|:::|`-‐'/::ヽ::::| .この辺りは沢庵の実感なのかもしれん。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ ちなみに、さっき紹介した「諸仏不動智」の最後に、
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、 この辺に絡んだ最近の僧侶に対する愚痴らしきものもあるんだ。
;;;;;/' `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l そいつも紹介しよう。
;;;く ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/- 416 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 21:59:18.59 ID:gFjt7120
- | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『また物知りなるによって
| |不| . |_| 智慧が頭へ出申し候て、をかしく候。
| |動| . |_| 今時分の出家の作法ども、
| |智| .|_| 嘸(さぞ)をかしく可思召候。
| |神| .|_| 御恥ずかしく候』
| |妙| .|_|
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
これ…
____ 「最近の若いモンは
/ \ 頭でっかちでイカン!」
/ ─ ─ \
/ -=・=- -=・=- \ ってことかお?
| (__人__) U | 沢庵和尚なのに、
\ ` ⌒´ / なんだか普通の爺ちゃんみたいな愚痴だお…。
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒) そりゃ沢庵だって生身の人間だからな。
. | u (__人__) まあ、この辺りは普遍的な話だろ。
| `⌒´ノ 別に沢庵に限った話じゃない。
. | }
. ヽ } ただ、沢庵は普段の言動が言動だけに、
ヽ ノ こういう普通の爺さんみたいな話があると、
/ く 個人的には少しニンマリできるんだな。
| \
| |ヽ、二⌒)、 - 417 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:02:06.41 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『間不容髪
| ._ .|_| 間不容髪と申す事の候。
| |不| . |_| 貴殿の兵法にたとへて可申候。
| |動| . |_|
| |智| .|_| 間とは、物を二つかさね合ふたる間へは、
| |神| .|_| 髪筋も入らぬと申す義にて候。
| |妙| .|_| (略)
| |録| .|_| 禅の問答には、此心ある事にて候』
|.  ̄ .|_|
|________.|_| 『石火之機
└─────── 石火の機と申す事の候。
是も前の心持にて候。
(略)
石をハタと打つや否や、光が出で
打つと其のまゝ出る火なれば、
間も透間もなき事にて候。
是も心の止まるべき間のなき事を申し候』
/ ̄ ̄\ この二項目は同じ意味で用いられているので、
/ - - \ 二つまとめて紹介しよう。
| (●)(●) |
| (__人__) | 『間不容髪』
| `⌒´ │ 『石火之機』
| .|
ヽ / まあ、大体わかると思うが、
ヽ ノ 両方とも、「すぐに」「隙を空けずに」という意味で
_/ l__ 用いられている。
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒) 剣を使う際、「心を止めない」だけではなく、
瞬時の反応の重要性を説いているんだな。
____
/ \
/─ ─ \
なるほど…。 / (●) (●) \
でも、どちらかと言えば、 | (__人__) |
心法よりも身体的な話っぽいお。 \ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/- 418 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:04:21.29 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ ノ \
| ( ●) |
. | u (__人_) …なんで身体の話になるんだ?
| ` ⌒ノ こいつは心法論のバリエーションだぞ。
| }
ヽ }
ヽ ノ
ノ \
/´ ヽ
____
/_ノ ヽ_\
/( ●)( ●)\ そんなわけないお?
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ だって瞬間的に反応して、って話なんだから、
| ( ( | これは心というより、身体…反射神経の話だお?
\ `ー' /
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) |
. | (__人__) │ 反応…ああ、そういうことか。
| `⌒ ´ | やる夫、この話にはまだ続きがあるんだ。
. | | そいつを読んでくれれば、
. ヽ / こいつが心法のバリエーションというのがわかるぞ。
ヽ /
> <
| |- 419 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:06:12.00 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『是も心の止まるべき間のなき事を申し候。
| |不| . |_| 早き事とばかり心得候へば、悪敷候。
| |動| . |_| 心を物に止め間敷と云ふが詮にて候。
| |智| .|_| 早きにも心の止まらぬ所を詮に申し候。
| |神| .|_| 心が止まれば、我心を人にとられ申し候。
| |妙| .|_| 早くせんと思ひ設けて早くせば、
| |録| .|_| 思ひ設ける心に、又心を奪われ候。
|.  ̄ .|_| (略)
|________.|_| 心をとどめぬが肝要にて候』
└───────
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ 前の「石火之機」には、
| .(●)(●) | そのままこう続いているんだ。
. | (__人__) |
| `⌒´ | ) ;;;;) 「石火之機を単なる早さだと思うのは間違いである。
. | | .) ;;;;) 心が止らない結果として、早くなるのであり、
. ヽ } /;;/ 肝心なのは心を止めないことである」
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・' というわけだな。
( \ /|_ノ ヽ 身体的な面を否定しているわけではないが、
. \ "" /_ノ | まあ、言ってみれば別の話、ってことだな。
\ /___/
___
/)/ノ ' ヽ、\ そうだったのかお…。
/ .イ '(●) .(●)\ まあ、読んだ限りだと、
. /,'才.ミ). (__人__) \ 「禅問答における即答」を元にした話だし、
. | ≧シ' ´ ⌒` | 確かに身体的反射神経というより、
. \ ヽ / 心の話なのかお…。- 420 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:08:51.64 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『禅宗にて、如何是仏(これいかなるほとけか)と
| |不| . |_| 問ひ候はば、拳をさしあぐべし。
| |動| . |_| 如何か仏法の極意と問はば、
| |智| .|_| 其声未だ絶たざるに、
| |神| .|_| 一枝の梅香となりとも、
| |妙| .|_| 庭前の柏樹子となりとも答ふべし。
| |録| .|_|
|.  ̄ .|_| 其答話の善悪を撰ぶにてはなし。
|________.|_| 止まらぬ心を尊ぶなり』
└───────
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \ その辺を更に補足する形で、
i ! | (●)(●) | 禅宗での問答についても述べている。
r;r‐r/ | | (__人__) |
〈_L (`ヽ .} | .`⌒´ ノ どういう答えを出すかより、
l` ( ``/ . | } 問われた瞬間に答えを返す、
ヽ l . ヽ } その「止まらぬ心」こそが重要だ、ということだな。
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;) あー、確かに、禅問答とかだと、
/ (─) (─ /;;/ 妙な問いに、妙な答えが返ってくる話が
| (__人__) l;;,´| あったりするけど、そういうことなのかお。
./ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| |
\ /___ /- 421 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:10:37.28 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『石火の機と申すも、
| ._ .|_| ひかりとする電光のはやきを申し候。
| |不| . |_| たとへば右衛門とよびかくると、
| |動| . |_| あっと答ふるを、不動智と申し候。
| |智| .|_|
| |神| .|_| 右衛門と呼びかけられて何の用にてか有る可きなどと思案して、
| |妙| .|_| 跡に何の用か抔(など)いふ心は住地煩悩にて候。
| |録| .|_| (略)
|.  ̄ .|_| 又右衛門と呼ばれて、をつと答ふるは、諸仏智なり。
|________.|_|
└─────── 仏と衆生と二つ無く、神と人と二つ無く候。
此の心の如くなるを、神とも仏とも申し候。
神道、歌道、儒道とて、道多く候へども、
皆この一心の明なる所を申し候』
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ そして、更に補足になるが、
| (●)(●) | この「石化之機」が、即ち「不動智(諸仏智)」であると述べ、
. | (__人__) | これを得ることが即ち神や仏ということであり、
| `⌒´ ノ 諸道は全てこれを得る為のものである、とまた述べている。
. | }
. ヽ } まあ、話としては「諸仏不動智」で書かれていたことと同じなんだが、
ヽ ノ こっちでは具体例の中に、「又右衛門」と
/ く 宗矩の名前が上がっているから紹介してみたところだ。
| \
| |ヽ、二⌒)
____
/ \
/ ─ ─ \ まあ、ここに限らず、文章を読んでたら、
/ (●) (●) \ これが宗矩宛だってのはすぐわかるお。
| (__人__) | 進めてくれお。
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |- 422 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:12:17.75 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『心の置き所
| ._ .|_| 心を何処に置かうぞ。
| |不| . |_| (略)
| |動| . |_| 何処なりとも一所に心を置けば、
| |智| .|_| 余の方の用は皆欠けるなり。
| |神| .|_| (略)
| |妙| .|_| 然らば即ち心を何処に置くべきぞ。
| |録| .|_| (略)
|.  ̄ .|_| 何処に置かうとて、思なければ、
|________.|_| 心は全体に伸びひろごりて行き渡りて有るものなり。
└─────── (略)
唯一所に止めぬ工夫、是れ皆修行なり。
心をばいつこにも止めぬが眼なり、肝要なり。
いつこにも置かねば、いつこにもあるぞ』
____
/ \
/ ─ ─ \ …略入り過ぎだお。
/ -=・=- -=・=- \ まあ、言ってる事は大体わかるけど…。
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒) まあ、そう言うな。
. | u (__人__) この「心の置き所」は結構長いんだ。
| |r┬|} 全文引用がやりづらいんだよ。
| | | |}
. ヽ `ニ}
ヽ ノ
/ く \
| \ \
| |ヽ、二⌒)、- 423 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:14:46.03 ID:gFjt7120
- /7
//
// さて、ここでは、
__ //
. /ノ ヽ\ .// 「”心を止めない”と言うが、
. / (●)(●〉/ では、何処に心を置けばいいのか?」
l (__人_,//l
. | `⌒// ノ という疑問に対し、
l // ./ 手とか眼とか刀とか、あるいは臍の下とか、
. ヽ r-‐''7/)/ どこか一つに押し込むのではなく、
/ と'_{'´ヽ
/ _.、__〉 ト, 「何処にも置かず、体全体に広げてしまえ」
{ 、__} |.i
ヽ _,.フ .|.| と説いているわけだ。
____
/ \
簡単に言ってくれるお…。 .. / ─ ─ \
そんなこと、どうやったらできるんだお? / -=・=- -=・=- \
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、そう思うのが自然だよな。
| ( ●)(● で、そう思うところに、
| (__人__)
. | ノ 「唯一所に止めぬ工夫、是れ皆修行なり」
| ∩ ノ ⊃
/ ./ _ノ …ってわけだ。
(. \ / ./_ノ │ 説明はできるにしても、そこに到達するには
\ “ /___| | やはり厳しい修行が要る、ということだな。
. \/ ___ / - 424 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:17:10.63 ID:gFjt7120
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『世の中に、仏道も儒道も心を説き候得共、
| ._ .|_| 其説く如く、其人の身持なく候心は、
| |不| . |_| 明に知らぬ物にて候。
| |動| . |_| 人々我が身にある一心本来を
| |智| .|_| 篤と極め悟り候はねば不明候。
| |神| .|_|
| |妙| .|_| 又参学をしたる人の心が明かならぬは、
| |録| .|_| 参学する人も多く候へども、それにもよらず候。
|.  ̄ .|_| 参学したる人、心持皆々悪敷候。
|________.|_|
└─────── 此一心の明めやうは、
深く工夫の上より出で可申候』
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ その点については、
| ( ●)(●) 少し戻るが「石火之機」の中でも、述べているんだ。
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ 仏道も儒道も心は説いているけど、
. | } 実際に「心が明か」な人はほとんどいないと言い、
. ヽ } 結局は、この心を得ようとするならば、
ヽ ノ mm 「深く工夫」するしかない、というわけだ。
/  ̄ ̄ ̄ つノ
| | ̄ ̄ ̄
____
/ _ノ ヽ_\
. / (ー) (ー)\ まあ、楽はできないってことかお。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \
ヽ L |r┬-| |
ゝ ノ `ー‐' / 「そういうことだな」
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:17:16.66 ID:4NWOrEA0
- ですよねー
- 426 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:19:42.52 ID:gFjt7120
…と、まあ、大体こんな感じかな。
この他にも、
「本心妄心」
/ ̄ ̄\ 「有心之心無心之心」
/ _ノ \ 「水上打胡蘆子捺即転」
| ( 一)(●) 「応無所住而生其心」
| (__人__) 「求放心」
| `⌒´ノ 「前後際断」
| ,.<))/´二⊃ 「敬の一字」
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 という具合に項が続き、
''"::l:::::::/ __人〉 それぞれ、様々な例と説明があるんだが、
:::::::::|_/ヽ. /|||||゙!:゙、-、_. その要諦は全て
:::::::/´∨/`ー'〉゙||i l\>::::゙'ー、
:::y′.: ',ゝ、_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::! 「一つの事にとらわれない自由な心」
/: ://: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
この重要性に集約される。
____
/⌒ ⌒\ まあ、ここまで読んだだけでも、
/( >) (<)\ どれだけそれが肝心かはよくわかったお!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 「大事な事だから2回言いました」ってことだお!
| /| | | | | |
\ (、`ー―'´, / 「まあ、2回どころじゃないわけだけどな」
 ̄ ̄ ̄- 427 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:22:06.18 ID:gFjt7120
まとめると、『不動智神妙録』の要点は、
こんなところになるかな。
|
/ ̄ ̄\
/ _ノ \. ....【不動智】
| ( ●)(●) .... 「一つの事にとらわれない自由な心」の
. | ::::::⌒(__人__) .重要性を説き、それが如何なるものかを解説。
| ` ⌒´ノ
. | }. 。 【諸道一致】
. ヽ } / ... 「不動智」を得るという点に於いて言えば、
ヽ ノ ./ ..どのような道も同じである。
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
| | ゚| |\/____E[]ヨ___________
_ | | ゚| |__
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
____
/ \
/ ─ ─\ こうして見ると、
/ (●) (●) \ 「活人剣・治国平天下の剣」で説かれた心法と
| (__人__) | かなりの部分で共通してるのがよくわかるお…。
./ ∩ノ ⊃ / 「礎」というだけあるお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /- 428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 22:22:58.08 ID:1mitkd.o
- なんか、呼吸を盗む無拍子を思い出しますなー。
- 429 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:24:50.39 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ まあ、実際、宗矩も『兵法家伝書』の中で、
| .(●)(●) |
. | (__人__) | 「法の師の示しをうけてここに記す者也」
| `⌒´ | ) ;;;;) 「さる智識の示されける兵法におもひあて、爰に記置者也」
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ というように、
ヽ ノ .l;;,´ 具体的な名前こそ出していないものの、
. / ∩ ノ)━・' 沢庵の教えを得たことを明記しているからな。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ | それだけ影響が大きかった、ということだな。
\ /___/
で、家光に
「活人剣・治国平天下の剣」を説いた際、
____
/_ノ ヽ\ 「この法の師とは誰か?」
/ ( ●) (●)、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ と問われて、
| |r┬-| |
\ `ー'´ / 「それは沢庵と申す僧のことでございまして…」
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ / と繋げたってわけだお。
\_,,ノ |、_ノ うまいやり方だお。- 430 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:27:14.81 ID:gFjt7120
- ., ──‐、
/ \
. .| _ノ ヽ
| ( ●) (●) それだけ和尚は宗矩にとって、
| (__人__) , -―ーっ 重要な人物だった、ってことだな。
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄
. ン } ゙| ̄'| …まあ、そういう域を越えて、
/⌒ヽ、 ノ .|, | 単純に「友だから」という見方も
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' | あると言えばあるんだがな。
| | / / r_____/
| | / / |i
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ なんか含みのある言い方だお~?
/:::⌒(__人__)⌒::::: \ どういうことだお?
| l^l^lnー'´ |
\ヽ L /
ゝ ノ
/ / - 431 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:29:57.16 ID:gFjt7120
- / ̄ ̄\
/ - - \
| (●)(●) |
| (__人__) | ああ、実を言えば、
| `⌒´ │ この『不動智神妙録』には、まだ続きがあるんだ。
| .|
ヽ /
ヽ ノ
_/ l__
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒)
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ 続き?
. /,'才.ミ). (__人__) \ それってなんだお?
. | ≧シ' ´ ⌒` | 今までので全部じゃないのかお?
. \ ヽ / - 432 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:31:10.60 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、厳密に言えば、
| ( ー)(ー) 『不動智神妙録』という書としては
. | (__人__) 今までの箇所で完結しているが、
| ` ⌒´ノ 「沢庵から宗矩に宛てた書」としては
. | nl^l^l まだ続きがある、ってことだ。
. ヽ | ノ
ヽ ヽ く つまり、沢庵から宗矩へ宛てた
/ ヽ \ 私的な話がこの後続くんだよ。
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | |
/( ●) (●)\ ! ! それって、確か「その28」で言ってた
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l 「沢庵和尚の説教」ってやつかお?
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ //
/ __ /
(___) /- 433 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:32:45.09 ID:gFjt7120
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) ま、そういうことだ。
| (●)(●)/;;/ ただ、こいつは、説教と言っても、
| (__人__)l;;,´| かなりの部分が、
| ./´ニト━・' .l
| .l _ニソ } 「人は如何に振舞うべきか」
/ヽ、_ノ / 「家臣とは、また領主とはどうあるべきか」
__/ / ノ__
/ / / `ヽ. といった一般論としての
/´ ./ ,. ヽ. 修身論、君臣論、士道論が多いから、
ト、_,/. |、 ヽ その辺は適当に略して、要点を抜粋して紹介するぜ。
| |/ /- 434 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:34:27.84 ID:gFjt7120
- _,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\ \ \、_ハノ\、_ハノ\、_ハノ
/ / / / 夢 | ヽ ヽ\).',..、
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', / 前から思っていたことを
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ヽ,) ここで言ってやるから、よく聞くがよいわー!
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | )
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| ヽ 貴様は兵法では古今無双の達人で、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ _) 世間の受けもいいようだが、
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ ) だからって調子に乗るんじゃねえ!!
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | /-、
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 ,ソ/ヘ '"
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! / //7/ヘ /l ト、 |\
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ___,/ _____V__ | l ヽ|
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
沢庵宗彭
『内々存寄候事、御諫可申入候由、愚案如何に存候得共、
折節幸と存じ及見候所、あらまし書付進し申候。
貴殿事、兵法に於て古今無双の達人故、
当時官位俸禄世の聞えも美々しく候。
此大厚恩を寝ても覚めても忘るゝことなく、
旦夕恩を報じ忠を尽くさんことをのみ思ひ玉ふべし』 - 435 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:37:18.96 ID:gFjt7120
-
,. '"´三二二三`ヽ
/,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ
/ / 夢 ', ヽ
/ /::( ノ:::) ヽ
/ /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``', ヽ
/ ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ', ヽ
/ / ,, ,, ', \ \、_ハノ\、_ハノ\、_ハノ
/ /::、 / .;;;;;;' ヽ /::ト、 ヽ\).',..、
./ //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V . /
/ // 1:::::; V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV ;:::::ト、V ヽ,)
/ // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ ;_ ___ノ) ) まず、好き嫌いで
/ // / l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ;::: ̄\ `ヽ 弟子の取り立てに
/ // / 1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ;::! i i _) えこひいきするでないわー!!
. / // / / l:::;. |WWWWWW! /1 | | .l,)
/ // / / .|ヾ、 L二二二ニノ / | | | /-、
. / // / / |(__ノ\ /xxxxxヽ/ /! ! ! .,ソ/ヘ '"
. // / / ノ ', l}}}}}}}}}}}}} /| | | | / //7/ヘ /l ト、 |\
// / / ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/ l | | | / V | l ヽ|
. // / / l >.-、/ ヽ ヽ | | ! !
// / / |/ / \) l/ | |
.// / / V 〉 '"´ ``ヽ). | !
/ / 〈 '"´ ``ヽ) l/
『善人ありても我が気に合はざれば、善事を用ひず、
無智なれとも一旦我が気に合へば、登し用ひ好むゆえに、
善人はありても用いざれば無きが如し。
(略)
貴殿の弟子を御取立被成にもか様の事有之由、苦々敷存候』 - 436 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:39:56.62 ID:gFjt7120
- _.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 \ \、_ハノ\、_ハノ\、_ハノ
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
i./ `''、 `'';;;;;;i、 /
,!l 夢> i'i|.゙l , `'- ヽ,) 次に貴様、この間息子(十兵衛)のことで
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 ) ) 散々愚痴って文句を言っておったが、
!l,,_ l / '´ ...} /`ヽ 子供が悪いのは親の責任じゃー!!
.',_/ / ! /..l_) .まず自分を改めるがよいわー!!
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ / .l,)
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! /-、
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l .,ソ/ヘ '"
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .', // //7/ヘ /l ト、 |\
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l ,ゞ゛ ___,/ _____V__ | l ヽ|
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;',
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:;:;:|
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| .、 ,
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、 ゙',ゝ、,.l,
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
『就中、御賢息御行跡の事、親の身正しからずして、
子の悪しきを責むること逆なり。
先ず貴殿の御身を正しく成され、其の上に御異見も成され候はば、
自ら正しく御舎弟内膳殿も兄の行跡にならひ正しかるべければ、
父子ともに善人となり、目出度かるべし』 - 437 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:42:09.67 ID:gFjt7120
- _,,、....... --........,,,
,/゙,.. -―ー ,, `'''-、、
/ / 、,,, .`'-、 \\ \、_ハノ\、_ハノ\、_ハノ
/ / .ll夢i_、 .ヽ. ..ヽ\).',..、
/ . / " ,i"< / 今、将軍から目を掛けられてるからって、
/ . i',, ,, ;;ソー'''ッ', ヽ,) 大名どもから賄賂とか取るんじゃねえぞ!
,' l;:;:,゙;;iii- 、 ,i.l二rミ';;./ i', )
. ! ,!;|,'..,;{゙l_,/./ .`''T゙゙´ " .| ヽ 今だって、挨拶のいい大名どもを
! .!゙"  ̄゛ ′ ,...! _) 将軍に取り成ししてるらしいじゃねえか!
.,! .! _,,,,,. /´;:;:| ,) よくよく己を見つめ直さんかー!
.l゙ .l'ー、 .、 ゙‐'ニ>-, .l .|;:;:;:;:| /-、
.l .|;:;:', !', /ニ',;;二ニコ;.l.,l} .!;:;:;:;:} .,ソ/ヘ '"
.! !;:;:.! .',゙ゞ゙'";:;:;:;:;:;:`゙;:;:;〈. :!;:;:;:;:l゙ / //7/ヘ /l ト、 |\
| .l;:;: l l';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_,,;:l''、.l !;:;:;:;| ___,/ _____V__ | l ヽ|
| .!;:;:;',.|;:l',;:./''''''"゛ `| l;! .|;:;:;:;|
.| .l;:;: ! l}',′ │ ゙l .l;:;:,i|
.! . l;:;:;l │ヽ ._,,,./ ゛ .l./ .!
| .',-.l ′ `゙´ / !
l l \、 . ,/ !
.,! .l `''ー----‐'´ l
.! ! ゙
! ."
.|
『唯今寵臣たるにより諸大名より賄を厚くし、
欲に義を忘れ候事努々(ゆめゆめ)不可有候。
(略)
また挨拶のよき大名衆をば、
御前に於てもつよく御取りなし成さるる由、
重ねて能く能く御思案可然可然歟』 - 438 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:44:06.31 ID:gFjt7120
- _.. -―'''''''―-- ..,,_
,/ `゙''-、
,/ _..-'''''―- ..、 \
/ .,/ \ .ヽ
. / / ヽ .ヽ
/ ./ 夢 ヽ ヽ
/ ./ , .l, .',
./ ,i!゙',、 _ノ.l/j !
! .,'―‐`-lii、 . ,,rl┴''''ー l! l,
./ i!'-、 .!ゝ . '.l、 / .!′ ,..''7 .ヽ
./ ./ 'イ''ニ=rirr,'|./ .ヽ`-`-`-''',/゙l l
/ .l゙ " ゙′ l l.
. / ! ,.| ., ヽ.
.'" !ヽ y i;;;;;;、 'i, ../ ;:;l ..l゙‐'′
|;:.! ,/,' .,,r;;ニッiiiiiiiiiiiiii;;;;r、 .l', .!;:;:;:.! \ \、_ハノ
|;:;:;:! .// i',{ .iー'''''''''''''ー'i i!|i ,!} l;:;:;:;l ヽ\).',..、
|;:;:;:| .{ ! ./ ゙" !" l',./;,! l;:;:;:.! /
!;:;:;:.! ヾイ.,..-ー'''''''''''―- ..,..!!./ |;:;:;:| ヽ,) あと、貴様、能にハマって
!;:;:;:;.! /,ii/ l;,ii;| .l;:;:;/ ) 人の家に押しかけて
l;:;:;:;:;| .l;| } !,!:l" /;:;:/ ヽ 能を勧めたりしてるそうじゃねえか!
l゙'-,;:;| !| .l :l".! │;,イ _) そこまできたら病気だ馬鹿!
!、 `'', │ ! l,i,'-/ ,) あと変な謡い方するんじゃねえ!
i,',',iiiii、\ .! . ! .r',゙.l'''7 /-、
., .l', .リ、\.l レ'.l- l!.│ .,ソ/ヘ '"
. l, .!l 、 l`-',/、 ,i;;;;,','" l_./、 / //7/ヘ /l ト、 |\
l、',l \ l ',`'リー .... イ゛ !., '"/.i', 、 ___,/ _____V__ | l ヽ|
l l, .,!`′ .`-,! ! .! ! ,ノ゛ // .l .|, .|,
! ,'i l ゙゙''ヘ..,|_ ._l..-'" .′ ', .l ! . l ゙',
.l ! l./  ̄゛ l" !/゛ ',
´ ′
『貴殿、乱舞を好み自身の能に奢り、
諸大名衆へ押て参られ、能を勤められ候事、偏に病と存じ候なり。
上唱は猿楽の様に申し候由』 - 439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:45:16.20 ID:4NWOrEA0
- 確かにそうだ
- 443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 22:51:55.19 ID:hJq/YnEo
- 病気とまでいうかwwwwww
- 442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 22:50:26.69 ID:x.bFmHgo
- >上唱は猿楽の様に申し候由
これ、トドメさしてませんか和尚ww - 440 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:47:43.93 ID:gFjt7120
- .rニYニヽ
|レ / j | …以上だ。
!!_ イ } |
゙- '´ ,、 /j j 「心こそ心迷はす心なれ 心に心心ゆるすな」
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈 これを忘れるなよ。
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
『歌に、「心こそ心迷はす心なれ 心に心心ゆるすな」』 - 441 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:49:20.40 ID:gFjt7120
-
/ ̄ ̄\ これで終わりだが、
/ _ノ \ 「剣禅一致」を記した書の最後に、
| ( ー)(ー) いきなり自分宛の説教が始まったら驚くだろ。
. | u. (__人__) 宗矩の気持ち的に考えて…。
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ } / ̄ ̄ ̄\
ヽ ノ / ⌒ ⌒ \
i⌒\ ,__(‐- 、 / u (ー) ::::(ー)ヽ …ボロクソ言われてるお。
l \ 巛ー─;\ | :::⌒(__人_)⌒:l よくこれだけ言われて怒らなかったもんだお。
| `ヽ-‐ーく_) \ `  ̄´ /
. | l i⌒\、___ ィヽ
| | .l \ 巛ー゙‐;\
リー──‐‐t____. | ヽ-‐≠ー '′
l " ~ ̄ ̄⌒ヽ`ヽ.|゙ ̄ ̄⌒ヽ ̄ヽ
───`ー───ソ | |┴‐─-r |i' |───────┐
| | | |,_|, __| |,
|_、| __|. (´_)゙_) |,
l'___)__) - 444 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:52:48.53 ID:gFjt7120
- __
/ ~\
/ ノ (●)\ まあ、これを読んだ宗矩が、
. | (./) ⌒)\ 怒ったかどうか、というのは正直、わからん。
. | (__ノ ̄ \
\ | ただ、後々の沢庵と宗矩の交流の深さを見るに、
\ / 「自分の事を想っての忠告」として
. \ ⊂ヽ∩ 真摯に受け止めたようではあるな。
/´ (,_ \.
/ \. \
./ / |. \ソ
( y' .|
____
/ \
/ ─ ─\ …なかなか大したもんだお。
/ (●) (●) \ だとすると、説教された部分を
| (__人__) | ちゃんと改めたってことかお?
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ / - 445 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/22(日) 22:55:10.74 ID:gFjt7120
そうだなあ…。
まず、今の話をまとめると、寛永九年(1632)当時、
宗矩が忠告されたのは以下の点ということになる。
|
/ ̄ ̄\
/ _ノ \.
| ( ●)(●) ....1 : 弟子の取立てでえこひいきがあること。
. | ::::::⌒(__人__) .2 : 十兵衛・宗冬の件で愚痴ったこと。
| ` ⌒´ノ .3 : 挨拶の良し悪しで将軍への取り成しを変えること。
. | }. 。 4 : 能のやり過ぎと他人にも能を押し付けること。
. ヽ } /
ヽ ノ ./
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
| | ゚| |\/____E[]ヨ___________
_ | | ゚| |__
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | | なるほど!
/( ●) (●)\ ! ! それぞれ後で直ったかどうかが
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l わかればいいわけだお!
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ //
/ __ /
(___) /- 446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 22:56:35.20 ID:DB5T1S6o
- まあどんなにいいことでも押しつけるのは傲慢だよなwwww
- 448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 22:57:14.84 ID:SAXjC4go
- 剣能一致をあみだせばいいんだYO!
- 447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:57:02.82 ID:4NWOrEA0
- 宗矩は今生きてたらカラオケでノリノリで歌ってそうだな
- 452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 23:01:49.30 ID:dTBaXIUo
- でも、挨拶の良しあしでとりなしを変えるのはしょうがないと言うか、
礼儀のなってない奴を将軍の前には出せないと思うがなあ。 - 460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 23:39:04.41 ID:QP8EwWko
- >>452
俺の勘違いかもしれないけど
この場合の挨拶って金品をともなった
ご挨拶のことなんではないかと - 461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 00:00:15.70 ID:Lil8Utgo
- この時代、挨拶や依頼には贈り物はかかせないというか、持って来ない方が非礼扱いだったそうだしねえ
- 462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 20:11:19.10 ID:K2tp2HEo
- 山吹色のお菓子か
- 463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 20:32:09.90 ID:oQrNGPE0
- 将軍やいろんな大名に剣術の指導してたから、
指導料として他の同程度の旗本よりも多めに贈り物が贈られていたんかな? - 466 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:03:25.80 ID:kJdE9ag0
., ──‐、 いや、それがな、
/ \
. .| _ノ ヽ 「その1 : 弟子の取立てでえこひいきがあること」
| ( ●) (●) 「その3 : 挨拶の良し悪しで将軍への取り成しを変えること」
| (__人__) , -―ーっ
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ この2つについては、実はこの沢庵からの指摘以外、
. ン } ゙| ̄'| 他に宗矩への批判を裏付ける史料が無いんだ。
/⌒ヽ、 ノ .|, |
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' | その点に於いて言えば、
| | / / r_____/ そもそもこの批判自体の信憑性に
| | / / |i. 微妙なところがあるんだよ。
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ というと?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /- 468 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:08:00.78 ID:kJdE9ag0
沢庵自身も書いている通り、
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) 「~か様の事有之由」
| (─)(─) /;;/ 「~成さるる由」
. | (__人__) l;;,´
| `∩_ノ)━・' とあるだろ?
. | |_ノ こいつは今の言葉で言えば、
/ヽ | |_
| \_/ ノ ヽ 「~というように聞きました」
\ /_| |
| \ / _/ ということなんだ。
. ____
/ \
/_ノ ヽ_. \
つまり、あくまで「世間の噂」に過ぎず、 / (●) (●) \
実際にはそういうことは | (__人__) |
なかったのでは、ということかお? ...\ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー)
. | (__人__) まあ、平たく言えばそういう事だな。
| ` ⌒´ノ
.l^l^ln }
. ヽ L }
ゝ ノ ノ
/ / \
/ / \
. / / |ヽ、二⌒)、
ヽ__ノ- 469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:10:43.56 ID:RLl4PmYo
- ほほぅ
- 470 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:11:33.94 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
. ./ _ノ ヽ
| ( ●) (●) というのは、当時の宗矩は、
| (__人__) ∫ 大身の直参旗本で、将軍家の寵臣…。
| `⌒´ノ ∬ それに加え、家光の最側近である酒井忠勝や、
. ヽ } | ̄|. 細川、鍋島、伊達などの有力な外様大名とも
ヽ ノ |_|) 繋がりがあるという、かなり目立つ立場にあったんだ。
____/ イー┘ |
| | / / ___/ しかも、旗本としては比較的新参だしな。
| | / / | なおさらだ。
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
そういや和尚も冒頭で、
. ___
「当時官位俸禄世の聞えも美々しく候」 /)/ノ ' ヽ、\
. / .イ '(●) .(●)\
って書いてたお。 . /,'才.ミ). (__人__) \
前にも、宗矩への客が多くて、 . | ≧シ' ´ ⌒` |
和尚が会うのを諦めた、って話もあったし…。 . \ ヽ /
., ──‐、
/ \
. .| _ノ ヽ
| ( ●) (●) そういうことだ。
| (__人__) , -―ーっ 実際、仕官や出世を期待して
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ .宗矩に接近する人間も多かったし、
. ン } ゙| ̄'| .その中に、思うようにいかなかった人間がいれば、
/⌒ヽ、 ノ .|, | 不満不平の一つも出るだろう、ということだな。
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' ∫
| | / / r_____ ∬ ここいらが「噂」の根ではないか、ということさ。
| | / / |i ┌‐┐
| | ( 〆⌒'──r─≒、.((| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄└‐┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄- 471 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:14:01.73 ID:kJdE9ag0
- ____
/ \ ( ;;;;( つまり、1については、取り立てられなかった奴が
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/ 「自分が取り立てられずに、
| (__人__) l;;,´| あんな奴が取り立てられるのは、
./ ∩ ノ)━・'/ きっとえこひいきに違いない!そうに決まってる!」
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| | とか口に出したのが噂になって、
\ /___ / 和尚の耳に入った…そういうことかお?
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) まあ、そんなところだな。
| (─)(─) /;;/ 「弟子の取り立て」って書いてあるから、
. | (__人__) l;;,´ 剣術の上での仕官や出世絡みが原因のようだが、
| `∩_ノ)━・' .案外、
. | |_ノ
/ヽ | |_ 「腕は立つけど、性格に難がある奴より、
| \_/ ノ ヽ .若干腕は落ちても、まともな奴を取り立てたら、逆恨みされた」
\ /_| |
| \ / _/ とかいうオチかもしれんな。 - 472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:14:42.57 ID:RLl4PmYo
- なるほどな~
- 474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:14:53.95 ID:oQrNGPE0
- こう聞くとかなり美味しい立場だな柳生は。
- 476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:18:50.15 ID:5yBrk7E0
- 性格悪いやつに剣術教えると、世間の迷惑かもしれんね。
- 473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:14:45.13 ID:8iMode.o
- ああ~ 「あんまり権勢を誇ってると、ねたまれて陥れられるから気をつけろよ」
って遠まわしに忠告してくれてるのか - 475 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:18:45.84 ID:kJdE9ag0
- ____
/ \
…それって、本当にえこひいきしてるより . / \
タチが悪いんじゃないかお? . / /) ノ ' ヽ、 \
風評被害ってとこだお。 | / .イ '(ー) (ー) u|
迷惑な話だお。 . /,'才.ミ). (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (●)(●)/;;/ まあ、あくまで仮定ではあるがな。
| (__人__)l;;,´| それに、えこひいきの話とは少し違うが、
| ./´ニト━・' .l 十兵衛の著作『月之抄』の中に、
| .l _ニソ } 宗矩が話したという
/ヽ、_ノ /
__/ / ノ__ 「免許を出す際の心掛け」
/ / / `ヽ.
/´ ./ ,. ヽ. というのがあるんだ。
ト、_,/. |、 ヽ そいつを紹介しよう。
| |/ / - 477 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:23:38.38 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『師匠之心持之事
| |月| . |_| (前略)父云、四つの教へあり。
| |之| . |_| 主人と子と徳と深き執心の人と、是四つには不残可者也。
| |抄| .|_| 其のくるる人に、教へとよ云ば、よくに似たれとも、
|.  ̄ .|_| たからを入れて習ぬれは、あだにせざるなり。
| |_| 卒爾にもさせぬもの也。
| |_| 古今伝授も黄金をつむ也。
|________.|_| 云、師道上手のをしへは、本を外さざると也』
└───────
____
/ \ これは…免許を出すのは、
/ u ノ \ 「主君・子・徳のある人・熱心な人」で、
/ u (●) \ あと、宝を差し出してくる人は丁寧に対応せよ、ってことかお?
| (__人__)|
\ u .` ⌒/ …えこひいきじゃないけど、
ノ \ これはこれで問題があるんじゃないかお?
/´ ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ いや、この頃の剣術指南なんてのは、
| ( ●)(●) 大体こんなもんだぞ。
. | (__人__) それに、これはあくまで免許についてだからな。
| ` ⌒´ノ 仕官や取り立てはまた別の話だ。
. | }
. ヽ } ただ、これらの対象外の人間からすれば、
ヽ ノ 不満が出たとしてもおかしくはない。
/ く__,-ュ__ その辺りも噂の種だったのかもしれんな。
| ___ 三)
| |  ̄- 478 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:26:00.95 ID:kJdE9ag0
- (⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \
(⊃ ( ●)(●) まあ、1についてはそんなもんだ。
| (__人__) 続けて、同じように微妙な話として、
| ` ⌒´ノ
| } \ 「3 : 挨拶の良し悪しで将軍への取り成しを変えること」
/ヽ } \
/ ヽ、____ノ ) についても話をしよう。
/ . | _/ これも「~というように聞きました」と、
| / ̄ ̄(_) 人づての話が元になっているので、
\ \ /| JJJ ( 信憑性という意味では、1と近いところがある。
\ / /⊂_)
. ____
というか、こうなると .. / \
1と3については説教というより、 / ノ ' ヽ、 \
./ (●) (●) \
「そういう噂があるから気をつけろ」 | (__人__) |
.\ ⊂ ヽ∩ <
っていう「忠告」と解釈した方が | | '、_ \ / )
妥当な気がするお。 | |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \ まあ、そうだな。
i ! | (●)(●) |
r;r‐r/ |. .| (__人__) | ただ、挨拶の良し悪し…、
〈_L (`ヽ .} | `⌒´ ノ まあ、ぶっちゃけた話、賄賂なんだが、
l` ( ``/ . | } これに対して宗矩がどのように対応したか、
ヽ l . ヽ }. ある記録が残っているので、そいつを引用しよう。
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ - 479 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:28:21.94 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【公儀所日常】(萩藩江戸屋敷の記録)
| |公| . |_|
| |儀| . |_| 『同日(寛永十年十二月二十九日)
| |所| .|_| 柳生但馬守殿へ御案内に参上仕り候。
| |日| .|_| 御太刀馬代銀一枚持参いたし候。
| |常| .|_| 右の進物御請引なく、御返進候事』
|.  ̄ .|_|
|________.|_|
└───────
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(● こいつは萩藩の江戸留守居役が、
| (__人__) 宗矩への挨拶の際、進物として太刀や銀を持っていったが、
. | ノ 宗矩はこれを断った、という話だな。
| ∩ ノ ⊃
/ ./ _ノ あと、この他にも、寛永十二年(1635)、
(. \ / ./_ノ │ 屋敷普請の際に金二百両を進呈したのを
\ “ /___| | 宗矩から礼状を添えて返進された、という記録もある。
. \/ ___ /
___
/ \
少なくとも、寛永十年以降の宗矩は、 ./ノ \ \
賄賂云々の批判をされるようなことはなかった、 / (●) (●). \
…ということかお? | (__人__) |
\ `⌒´ /
ノ \
/´ ヽ- 480 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:31:07.14 ID:kJdE9ag0
まあ、史料を見る限りではそうだな。
ただ、全く受け取っていないわけでもなく、
/ ̄ ̄\ ごく常識的な「進物」の類については
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、. 受け取っていたようだ。
| ( ●)( / .\` 、 . // /
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ 実際、当時の武家社会というのは、
| ` / ``77 / 折々の際に進物を出すのが常識だった。
. ヽ / / / / .それに下手な断り方をすると、
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / 「当家からの進物を何故断るのか。
|. \ 〈\.\,〉 `, f もしや当家に含むものがあるのではないか」
| . \ (ヽ ヽ `.. |
| .\ \ ノ という具合に、別の問題が出かねないわけだからな。
____
/ _ノ ヽ_\
. / (ー) (ー)\ …めんどくせー話だお。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ お歳暮や暑中見舞いが
ヽ L |r┬-| | 凄くややこしくなってるような感じだお。
ゝ ノ `ー‐' /
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 481 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:33:47.88 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、そうだな。
| ( ー)(ー)
. | (__人__) ただ、宗矩の場合、
| ` ⌒´ノ 実際に親交のある大名家がいくつかあり、
. | nl^l^l その縁から取り成しをしたことが、
. ヽ | ノ 噂の元になったのかもしれんな。
ヽ ヽ く
/ ヽ \
.. ___
ん? . /)/ノ ' ヽ、\
じゃあ、賄賂を受け取ったりはしないけど、 / .イ '(●) .(●)\
仲のいい大名家のために、 . /,'才.ミ). (__人__) \
取り成しをすること自体はあったってことかお? . | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /
/ ̄ ̄\ そりゃあるだろ。
/ - - \ 当時の常識的に考えて…。
| (●)(●) |
| (__人__) | 大名家が有力な旗本と縁を持つのは
| `⌒´ │ そもそもそのためでもあるわけだからな。
| .| .藩の盛衰に関わりかねないことだから、先方だって必死だ。
ヽ / 幕府側だって統治の都合上、
ヽ ノ .諸大名との縁はある程度確保しておく必要があった。
_/ l__
__ゝ_/ ヽ ここまできたら、もう賄賂以前に政治の話だな。
\___ノ' ヽ⌒) .宗矩がそういう立場(有力な大身旗本)にある以上、
避け様のないことだったのさ。- 482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:37:02.35 ID:oQrNGPE0
- つまり、その当時の基準では極めて常識的な人だったというわけか(能除く)
- 483 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:37:50.82 ID:kJdE9ag0
- ____
/ _ノ ヽ_\ …めんどくせー話だお。
. / (ー) (ー)\ .それを聞くと、1・3については、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ それが事実であれ噂であれ、
ヽ L |r┬-| | 宗矩も承知の上の話だった、ということかも
ゝ ノ `ー‐' / .しれないわけかお。
/ / \
/ / \ …「忠告」を読んだ時、
. / / -一'''''''ー-、. 苦笑いする宗矩の顔が浮かんでくる感じだお。
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ 「沢庵和尚からの忠告!
| (⌒)(⌒) | これには宗矩も苦笑い」ってか?
. | (__人__) |
|. `⌒´ ノ まあ、真偽はともかく
. | } 偉くなると、どうしたってこういう批判は出る、
. ヽ } というところだな。
ヽ ノ
/ く さて、それじゃ1・3はここまでとして、
| \ 実際の説教になる2・4の話に移るぞ。
| |ヽ、二⌒) - 484 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:42:10.04 ID:kJdE9ag0
まず、
/ ̄ ̄\ 「2 : 十兵衛・宗冬の件で愚痴ったこと」
/ ⌒ ⌒ \
| (●)(●) | だが…まあ、この件の顛末は、
| (__人__) | 本編で語る方が良さそうだから、
|. `⌒´ | 詳細はここでは外させてもらうとしよう。
| }
ヽ } ただ、結論を言えば、
人_____ノ"⌒ヽ
/ \ 「十兵衛・宗冬共に、それなりにまともになった」
/ へ \
( ヽγ⌒) | \ \ というところだ。
 ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \
宗矩自身の方はどうだったんだお? | (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(● まあ、この後、
| (__人__) 煙草の事以外では特に説教されてないから、
. | ノ 和尚から見て問題なかったんじゃないか?
| ∩ ノ ⊃
/ ./ _ノ 煙草の説教は面白いから、
(. \ / ./_ノ │ これはまたいずれ紹介させてもらおう。
\ “ /___| |
. \/ ___ /- 485 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:44:40.64 ID:kJdE9ag0
- / ̄ ̄\
/ _ノ \ そもそも、この件については、
| ( ⌒)(⌒)
. | u (__人__) 「お前、自分の子供の事、
| |r┬|} そこまで言ってやるなよ…。
| | | |} つーかもう愚痴るな」
. ヽ `ニ}
ヽ ノ と、和尚が辟易したことの文句が主で、
/ く 宗矩への説教は、そのついでみたいな感じなんだよな。
| \
| |ヽ、二⌒)
____
/^ ⌒ \
逆に言えば、 (●) (● ) \
宗矩がそこまで愚痴を吐ける位、 /⌒(__人_)⌒:::::: \
和尚は気の置けない相手だったってことかお? | |-┬r| |
. \ `'ー` /
(⊃ ̄ ̄\ まあ、そうなるな。
(⊃ _ノ \ 自分の嫡男への愚痴なんて、
(⊃ ( ●)(●) 家の恥を晒すようなもんだからな。
| (__人__) 普通、口には出せねえよ。
| ` ⌒´ノ
| } \ 十兵衛に対し、
/ヽ } \ 宗矩がどれだけストレスを溜めてたかは、
/ ヽ、____ノ ) 本編でも散々語った通りだし、
/ . | _/ .それだけに、それを言っても大丈夫な
| / ̄ ̄(_) 和尚相手に一気に愚痴が出た…というところかもな。
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_) 和尚からすればとんだ災難だったわけだが。 - 486 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:47:56.62 ID:kJdE9ag0
- ∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | | なるほど…。
/( ●) (●)\ ! ! さて、それじゃ最後の4番目だお!
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l
| |r┬-| | / 「4 : 能のやり過ぎと他人にも能を押し付けること」
\ ` ー'´ //
/ __ / についてだお!
(___) /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、こいつはなあ…。
| ( ⌒)(⌒) 宗矩が能に熱心で、
. | u (__人__) 相当執心していたのは事実なんだよな。
| |r┬|}
| | | |} そして、この寛永九年以降も
. ヽ `ニ} こいつは全然直ってないようなんだな。
ヽ ノ この件について、和尚自身の書があるから、
/ く そいつを紹介しよう。
| \
| |ヽ、二⌒) - 487 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:50:13.55 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| | 【沢庵和尚から細川光尚(忠利の子)への手紙】
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____ 『柳生但州、先日は二の丸の御能仕り候とて、
/ じじい /ヽ__// 半ばに目をまはし申され、手を引き候て入り、
/ 踊り過ぎw / / / のり物にて、無性に成り帰られ候へ共、
/ / / / 霍乱にて候故、やがて快気申され、一昨日も罷り出られ候。
/ ____ / / / 去年八月より、此の頃まで能を仕られ候。
/ / / / 其の困、積もり申し候て、気も尽き申すと見え申し候。
/ / / / 去り乍ら、生れ付き強く御座候条、苦しかるまじく存じ候』
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / / (寛永十九年七月十八日付)
. … .
:____:
:/_ノ ー、\: …これ、江戸城での能があったから、
:/( ●) (●)。 \: 張り切って1年も前から練習してたせいで疲れが溜まって
:/:::::: r(__人__) 、 :::::\: 当日に日射病で倒れた…ってことかお?
:| { l/⌒ヽ |:
:\ / / /:
./ ̄ ̄\
/ ヽ、_ .\
. ( (- ) . | ついでにいえば、
. (人__) u. | その日は乗り物に乗って帰ったけど、
r‐-、 . | 後で回復して、また出てきて踊ってたらしいな。
(三)) . |
> ノ / これ、今回の説教の十年後なんだぜ…。
/ / ヽ、 . /
/ / ⌒ヾ .〈
(___ゝ、 \/. )
. |\ ,.1
. | \_/...|- 489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:51:41.05 ID:IjWva1Uo
- いいトシだろうにwwwwww
- 491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:53:27.53 ID:MRMVj.Eo
- なにこれ萌えるwwww
- 488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:50:14.84 ID:oQrNGPE0
- 4は周りの人にはかなり切実な問題だなwwwwww
- 490 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:52:33.17 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、.\ この他、寛永年代に
| (⌒)(⌒) .| 幾度か宗矩が能を演じた記録は
! (__人__) | 「徳川実紀」にも載っているし、
, っ `⌒´ u. | 逸話でも、宗矩と能についての話があるくらいだ。
/ ミ) /
./ ノゝ / だから、この4に関してだけは、
i レ'´ ヽ ありのままの事を説教された、と見ていいだろうな。
| |/| | |
_____
/ノ ヽ \
余所の大名家に押し掛けて . ,(● ) (● ) \
そこで能を勧めたりする事はどうなんだお? /⌒(__人__)⌒:::::::::\
本当なのかお? .... | |r┬-| |
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
/ ̄ ̄\ まあ、外部からの推測に過ぎない1・3と違い、
/ _ノ \ この場合、現に家に押し掛けられた大名がいたから
| ( ー)(ー) 文句の一つも出たわけだろうからなあ…。
. | u (__人__)
| ` ⌒´ノ 沢庵の書き方も、
. | nl^l^l
. ヽ | ノ 「諸大名衆へ押て参られ、能を勤められ候事」
ヽ ヽ く
/ ヽ \ と、実際に起きたことを元にした風の文章だし。- 492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:54:15.39 ID:4n5Sf/6o
- 趣味は辞められませんw
- 493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:54:20.72 ID:oQrNGPE0
- 宗矩の能の腕前が気になってきた
- 494 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:54:45.63 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ まあ、無理矢理勧めたことについては
| (⌒)(⌒) | 後の記録がないからわからんが、
. | (__人__) | ただ、十年後の相変わらずのハマりっぷりを見るに、
| u `⌒´ ノ
. | } 「偏に病と存じ候なり」
. ヽ .}
ヽ ノ と怒られた能好きは全然直ってないみたいだし、
/ く そっちも直ってなかったりするかもな…。
| \
| |ヽ、二⌒)
____
/ ノ \\
/ (●) (●)\ とりあえず押し付けはよくないお。
/ ∪ (__人__) \ これじゃただの迷惑な爺さんだお。
| ` ⌒´ |
\ /⌒)⌒)⌒) //⌒)⌒)⌒) なんていうか…これはフォローのしようがないお。
ノ | / / / (⌒) ./ / / イメージとしてはこんな感じかお?
/´ | :::::::::::(⌒) ゝ ::::::::::/
| l | ノ / ) /
ヽ ヽ_ヽ /' / /
ヽ __ / / /- 495 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 21:56:57.97 ID:kJdE9ag0
- =柳生但馬守、大名家に押しかけるの巻(イメージ)=
_-─― 、.
_´ ヽ
/ ヽ
匚二=- u ゛l 万府守様!
│ _ .. │ 但馬守様がまた来ました!
l /  ̄二=- │
l  ̄ ̄ /
} /
\ ノ│
` 彡;:;:;:;:;:;:\
|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;\
|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`
/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ
l:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`
│:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`、
|:;:;:;:;┌─:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l
|:;:;:;:;├─:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;}
{:;:;:;:;│:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|
{:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;}
|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;}
不労謝意無家家臣1
| | |
| | |
i、 _, -!--'- 、 ,'i て
_!\ _, ' 丶 // そ
\ ` ー---=ニニニニニニ=-`ー' >
ー'=----- 、------t'^tー-----,-t----~=-
i | |ヽ、_,,//i i \, ノ | | | えー、但馬守殿がまた来たの?
| | | | |. ¨ | | | もう能はいいって言ってるのに…。
| | ト、. ! | r:| | |
、 .| | |:::i ん、_,,ふ .i:::| | | ,
. ` ー=====ニニへ,_ へニニ======-ー'
| | |::::! < -ー-ー-> .|:::| | |
| | | u `>-=-く .|__| |
レ'> 、___ ,,,, .,__ノヽヽ、|
`-ミニリ| \_i;;;i // ヽへ <
/::/:{ヽヽ V / /::::ノ:::::\
不労謝意無万府守 - 496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 21:58:02.30 ID:oQrNGPE0
- 不労謝意無wwwwwwww
- 499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 22:03:56.85 ID:3fBfqe6o
- 万府守ww
- 497 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:00:04.66 ID:kJdE9ag0
│ ̄>┬。‐。┬< ̄│
|/ | 。 。│ \│
/ ノ | 。 。│ ヽ 〈
イ ・  ̄ ̄ ・ │ やだなあ…。
│∪ 。 | あの方、教えるって言ってる割に、
ヽ (二人二) ノ 最後は自分が踊ってるんだもの…。
>ーーーー<
/ | r ゙⌒ヽ ヘ
│、_二ニ) 〇 (_ 」
ヽ ヽ _ ノ ノ
不労謝意無家家臣2
__/⌒_ i i
/ .゙|_|  ̄`ヽ
f |||||||| ゙i
| 、____________________,|,
|ミ≡≡≡≡ ≡≡=彡
| | :| =ノ ゙i、= || | 本当にねえ…。
| | :| u ,、,.〉 || | でも、あの方は上様のお気に入りだし
. ー‐|─|‐抂─ノ‐v-、‐刊┼─ あんまり強く断れないんだよねえ…。
/\.| :| } `ヾ`ー''フ. f|| .|ヽ あーあ…。
/ ヽ ̄\__fff__/ ̄ \
| ゙i ヽ jjii / / ゙i- 498 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:02:23.72 ID:kJdE9ag0
- ___
./'´ ''ヽ、
/ ∧ |ヽ
.|<○> |. | おう!
|__V__ |. | 今日も能の素晴らしさってやつを
(____゚) |/| 教えにやってきたぞ!
丶 ∥ / | さあ、早速やるぜ!
', ∥ ノ ̄|
ヽ| / ! ^l、
,ヽ イ ! ヽ、
, イ | イ 〃 ,〃 ノハ`r==、― 、_
,イ「 ̄`v'´ {{ , 〃-――=、 /八ヽ ヽ ヽ、
/ {{ /  ̄ ヾ `((::))´ ヽ ヘ ヽ
/ /ハV 〃 ヽ、 i !〃|
i / -={! 》 | | /
| i {! -==ニ==、-T―- 、 イ
ヽ /| ! /i _ ヽ、 ヽ、
/ ヽ、__ / {` ‐- 、___ / ト==< ヽ i
/{ / 人 i'´ } ヽ /,へー‐ 、 i i〃 |
i / ==-==/ヽ { 丿_ ノー/{ ヾュ_ `i , ィ‐-- ,j | |
| i ==" /ヽ、ト 〉'´ { `ヽ〈 ハ ヽ V‐'´ヾ{⌒ ` i
∧ ! / ヽヽ{、_ j、 } iヘ ` ヽ、 ヾ、 {
レ { } r' } `‐- { ヽ` 、ヽ ‐=ァ= ヽ、
/ ヽ | ├-―┌――‐┴--入 ヽ 〃 `---―'´ 〉
| } }| 「「|  ̄ |{ ̄|{ 「| ̄ ̄| | 「` ̄ ̄ ―== ヽ、. /
柳生但馬守
\ / ̄ ̄ 冂| / /
\ / _,、 -┬┼┼┬┬ 、 / /
\ イ_/l│| │││││| ト、 / /
丶 ミ≧=l_|_|_|⊥レ┴┴┴┴ 「」_|_|,>=彡/
丶 ≧三三三三三三フ厂「三三三三三≦
`ヽ、 丶/ | | \__// |\_//| | |
`丶│ | |  ̄ ′ l  ̄ | | |
- 、_ │ | | u l u | | | は、はいっ…!
` │ | | u 〈_, _| u | | | (あー、やだなあ…)
_ - │__|_ト、___,=≦」│≧=_,イ」_|__
´ │  ̄| | ̄|「 ̄<二、_,二> ̄|| | | ̄
/ 」 | | || \__/ u || | |
/ /│ | | || u / ̄\ || | |
/ / │__|_|\____,从,___||_|_| \
/ / ̄「| ̄ ∨////∧Ⅵリ ////  ̄\ \ `ヽ、
=終わり= - 501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:04:45.59 ID:oQrNGPE0
- これは断れないwwwwww
- 500 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:04:43.63 ID:kJdE9ag0
- ____
/ \
/ ─ ─ \ …自分でイメージ出しておいてなんだけど、
/ -=・=- -=・=- \ これ、本当に迷惑な人だお…。
| (__人__) U | 怒られて当然だお。
\ ` ⌒´ /
__
/ノ ヽ\
/.(○)(○)\
|. u. (__人__) | (…確かに迷惑な爺だろ、こうして見ると…)
. | |
| |
. ヽ ノ
ヽ /
/ ヽ
| |
| . | - 502 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:07:55.28 ID:kJdE9ag0
___ あ、そういえば、説教の最後に
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ 「上唱は猿楽の様に申し候由」
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` | ってのもあったけど、
. \ ヽ / これはなんだお?
/ ̄ ̄\ 正直、そっちはよくわからん。
/ _ノ ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) | ・ 能の謡を猿楽のように謡った
. | (__人__) │ ・ お上(将軍家or重臣)の唱を”猿楽の様だ”と言った。
| `⌒ ´ |
. | | この二つの解釈があるんだが、
. ヽ / 宗矩の性格的に考えて、後者のようなことを
ヽ / .口に出すとは思えないので、前者じゃないかと思うんだが…。
> <
| | まあ、ここは「~由」と、「~と聞いたが」という伝聞なので、
| | なんとも言えないんだがな。- 553 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [sage]:2009/11/25(水) 21:30:31.49 ID:p118vio0
/ ̄ ̄\ 4つ目についてこんなところだ。
/ ノ \ \ あと、ついでだが、この忠告文の最後に
| .(●)(●) |
. | (__人__) | 「心こそ心迷はす心なれ 心に心心ゆるすな」
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) こんな歌があるんだが、宗矩は自身の解釈も加えた上で、
. ヽ } /;;/ この歌を『兵法家伝書』で引用している。
ヽ ノ .l;;,´ (外伝その3・前編3の>>606)
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ この忠告分も含めて、
. \ "" /_ノ | 沢庵からの教示と認識していた、ということかな。
\ /___/
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ 説教されてもタダでは起きない、というところかお。
/:::⌒(__人__)⌒::::: \ しっかりしてるというか、腹が据わっているというか…。
| l^l^lnー'´ |
\ヽ L /
ゝ ノ
/ /- 554 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [sage]:2009/11/25(水) 21:33:55.76 ID:p118vio0
さて、その辺を踏まえた上で、この沢庵からの”忠告”を見直すと、
ここで取り上げた四つの内訳は、大体こんな感じになるかな。
|
/ ̄ ̄\ ...【噂に対する”忠告”】
/ _ノ \. .... 1 : 弟子の取立てでえこひいきがある、という噂への忠告
| ( ●)(●) .... 3 : 挨拶の良し悪しで将軍への取り成しを変える、という噂への忠告
. | ::::::⌒(__人__)
| ` ⌒´ノ .【宗矩の愚痴に対する”説教”】
. | }. 。 2 : 十兵衛・宗冬の件で愚痴ったことへの説教
. ヽ } /
ヽ ノ ./ ..【事実に対する”叱責”】
/ lヽ介/lヽ、 ,rE) 4 : 能のやり過ぎと他人にも能を押し付けることへの叱責
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
| | ゚| |\/____E[]ヨ___________
_ | | ゚| |__
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
____
/ _ノ ヽ_\
. / (ー) (ー)\ 1・3が「世間でそういう噂があるから気をつけろ」という忠告で、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ 2は説教とはいえ宗矩にも同情の余地があるにしても、
ヽ L |r┬-| | 4は「お前のそういうところは良くないから直せよ!」というものだから、
ゝ ノ `ー‐' / 確かに「叱責」って感じだお。
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 504 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:12:11.99 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | まあ、なんにせよ、
. | (__人__) | 沢庵がわざわざこういうことを書くこと自体、
| ` ⌒´ ノ 宗矩に対する思いやり、と見ていいだろう。
. | }
. ヽ } 事実、心配だからこそ敢えて書いた、と
ヽ ノ 和尚自身も言ってるわけだしな。
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
____
/ \
それだけ仲が良かったってことかお。 /─ ─ \
まあ、確かに人を…それも友達を怒るのは / (●) (●) \
結構気を使うし、そう思うと、 ...| (__人__) |
宗矩はいい友達を持てたってことかお…。 \ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒
| ( ⌒)(⌒) そういうことだな。
| (__人__) その後の交流を見るに、
. | ノ 最後まで仲は良かったみたいだし、
| ∩ ノ ⊃ こういう関係は羨ましいもんだな。
/ ./ _ノ
(. \ / ./_ノ │
\ “ /___| |
. \/ ___ /- 505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:13:02.65 ID:oQrNGPE0
- お前にはやる夫がいるだろ
- 506 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:14:19.66 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | さて、忠告も含めた『不動智神妙録』の解説と、
. | (__人__) | 「活人剣・治国平天下の剣」への影響については
| `⌒´ | ) ;;;;) こんなところだ。
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ …だがな、実を言えば、
ヽ ノ .l;;,´ この『不動智神妙録』自体も
. / ∩ ノ)━・' 武道史において重要な伝書と言えるんだ。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
.. ___ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ (●) \ヽ ・
/ (⌒ (●) /
それはどういうことだお? /  ̄ヽ__) /
/´ ___/
| \
| |
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ ,.:┐
.( ●)( ●) ..| / | ああ。
(__人__) .|./ / 実を言えば、『不動智神妙録』は、
i⌒ ´ .r-、 |/ / 「活人剣・治国平天下の剣」の禅における礎というだけではなく、
{ ヽ, ',. .,/ :/', それ単体でも、武道に大きな影響を与えている、ってことさ。
.ヽ .| l_/_, -‐、',
.ヽ . | / , --'i|
/ { V , --ヘ
| ヽ L| r= |- 507 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:16:35.52 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ - - \
| (●)(●) |
| (__人__) | というのはな、『兵法家伝書』と違い、
| `⌒´ │ この『不動智神妙録』は、
| .| かなり世間に出回っているんだよ。
ヽ /
ヽ ノ
_/ l__
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒)
_____
/ '⌒ヽ ; '⌒゙\ || ||
/ ∪ \ || ||
/ /´ `ヽ/´ `ヽ \ o o
/ ( ●ll● ) \
/ ヽ_ _ノヽ_ _ノ ; \ ええっ!?
| ; ''"⌒'( i )'⌒"' ∪ .| .そうなのかお!?
| ∪ `┬─'^ー┬'′ ∪ | .てっきり柳生家の秘伝書だと思ってたお!
\ |/⌒i⌒、| /
\ ∪ !、__,! U /
/ 、____,, \
/ ヽ
| 、 , |- 508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:17:38.74 ID:oQrNGPE0
- これは公開されてたんだ。
- 509 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:18:17.28 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\ いや、事実、ある程度の時期までは
/ _ノ \ 柳生家の秘書として扱われていたらしい。
| ( 一)(●)
| (__人__) 例えば、正保二年(1645)五月十二日、
| `⌒´ノ 鍋島能直(元茂の子)に与えられた
| ,.<))/´二⊃ 『兵法之書(不動智の別題)』の奥書に、
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 『右此一巻者(は)柳生但馬守平宗矩兵法之奥蔵也。
''"::l:::::::/ __人〉 多年令懇望而写之畢(たねんこんもうしてこれをうつさしめおわんぬ)』
:::::::::|_/ヽ. /|||||゙!:゙、-、_
:::::::/´∨/`ー'〉゙||i l\>::::゙'ー、 とあるから、少なくともこの頃までは、
:::y′.: ',ゝ、_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::! 「柳生家の秘書」として認識されていたと見ていいだろう。
/: ://: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
____
/ \
/ノ \ \
じゃあ、 ./ (●) (●) \
「世間に出回った」っていうのは | (__人__) |
どういうことなんだお? .\ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) ああ、どういう経緯があったかは不明だが、
| (●)(●)/;;/ その後、『不動智神妙録』の写本が世に出回ったようなんだな。
| (__人__)l;;,´|
| ./´ニト━・' .l そのことを記したものとして、一気に年代が飛んで、
| .l _ニソ } ほぼ二百年後の弘化元年(1844)、
/ヽ、_ノ / 沼田藩士・工藤行広が書いた
__/ / ノ__ 沢庵和尚の伝記『万松祖録』に
/ / / `ヽ. 次のような記述がある。
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /- 510 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:21:05.52 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『世に和尚の書し剣法の一書あり、
| |万| . |_| 神明録、石火機、不動智などと表題す。
| |松| . |_| 是なん柳生公の為に書きしものとか聞く。
| |祖| .|_| (略)
| |録| .|_| そは和尚が宗矩公に与へし不動智のうち、石火の機の弁の中に
|.  ̄ .|_| 「又右衛門と呼ばれて」と云々』
|________.|_|
└───────
___
/)/ノ ' ヽ、\ 二百年後…つまり幕末も近い頃だお。
/ .イ '(●) .(●)\ 随分時間が飛びすぎなんじゃないかお?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` | それに、この記述だと、
. \ ヽ / 単に表題がわからないだけにも見えるお?
/ ̄ ̄\
おいおい、よく読めよ。 . / ヽ、_ \
「又右衛門と呼ばれて」と、 ..... (●)(● ) |
内容について記述してるだろ? .. (__人__) |
(`⌒ ´ |
これは「石化之機」の項を読まないと . { |
わからないことじゃないか。 { ノ
つまり、工藤行広は『不動智神妙録』を mm ヽ ノ
読んでいたってことだよ。 . (⊂  ̄ ̄ ̄ ヽ
 ̄ ̄ ̄| |
____ て
/ \ そ
/ \ /\ あっ…!
/ (○) (○) \
| (__人__) J |
\ u `⌒´ /- 511 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:26:56.54 ID:kJdE9ag0
更に言えば、
/ ̄ ̄\ ( ;;;;( この「万松祖録」を書いた工藤行広の
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) 藩内での地位は不明だが、
| (●)(●)/;;/ まず、柳生家と縁のある人物ではないと思われる。
| (__人__)l;;,´|
| ./´ニト━・' .l 逆に言えば、そんな人物でも、
| .l _ニソ } 普通に参照できたくらい、
/ヽ、_ノ / 「不動智神妙録」は広まっていた、ということだ。
__/ / ノ__
/ / / `ヽ. 他にも、さっきの「兵法之書」の他、
/´ ./ ,. ヽ. 「剣術法語」なんてタイトルのものもあって、
ト、_,/. |、 ヽ 写本だけに内容も違っていたり(※)と
| |/ / 色々とバリエーションがあったらしいな。
____
/ \
/ _ノ ヽ、_.\ ふーむ…。
/ (●) (●) \ すると、一体いつくらいから
| (__人__) | 世間に広まったんだお…?
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
※ 例えば、柳生家に現存する『不動智神妙録』の写本には沢庵からの忠告文がない、など。
なお、『不動智神妙録』の原本は行方不明。- 512 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:28:27.01 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | 調べた限りだと、少なくとも、
. | (__人__) | 沢庵の死後から四十年経った天和三年(1683)の頃には
| ` ⌒´ ノ それなりに広まっていたらしいな。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
____ て
/ \ そ
/ u ノ \ そ、そんなに早く広まったのかお?
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
ノ \
/´ ヽ- 513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:30:31.69 ID:oQrNGPE0
- 早っww
- 514 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:30:37.23 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ - - \ ああ。
| (●)(●) | 貴直流という流派の開祖に
| (__人__) | 稲垣十郎兵衛貴直という武芸者がいるんだが、
| `⌒´ │ この人物が『不動智神妙録』を批判したのを、
| .| 門人の湯川久右衛門が聞き書きした
ヽ / 『儀理之評判』という書物があってな。
ヽ ノ
_/ l__ そいつができたのが
__ゝ_/ ヽ 天和三年だったってわけだ。
\___ノ' ヽ⌒)
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ 批判ってのは、どういう内容なんだお?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /- 515 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:37:51.58 ID:kJdE9ag0
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \ 例えば「無明住地煩悩」のうち、
(⊃ ( ●)(●)
| (__人__) 『向ふから打つとも、左から打つとも、
| ` ⌒´ノ 右から打つとも、打つ人にも、打つ太刀にも、
| } \ 程にも拍子にも、卒度も心を留むれば、
/ヽ } \ 手前の働き、みな脱け候て、
/ ヽ、____ノ ) 人に切られ申すべく候』
/ . | _/
| / ̄ ̄(_) この部分に対して、
\ \ /| JJJ ( 「これは沢庵が兵法を知らぬからだ」と批判したそうだ。
\ / /⊂_)
____
/ \
/ _ノ ヽ、_.\
/ (●) (●) \ どういうことだお?
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /- 516 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:39:53.53 ID:kJdE9ag0
- / ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) 稲垣が言うには、
| (●)(●)/;;/
| (__人__)l;;,´| 「兵法は拍子というものが大事で、
| ./´ニト━・' .l この敵が打つか打たないかの拍子を
| .l _ニソ } よくよく習い覚えて、すかさず打つのが「先前先機」という。
/ヽ、_ノ / このような拍子の事を心得ないのでは、兵法上手とは言えぬ」
__/ / ノ__
/ / / `ヽ. ということだそうだ。
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
…なんだおそれ? ____
そもそも和尚は僧なんだし、『不動智神妙録』自体、 / \
「不動智」の重要性と「剣禅一致」を説くのが主眼だお?. / \
拍子の件は、宗矩が『兵法家伝書』で . / /) ノ ' ヽ、 \
色々書いてるから和尚が書く必要なんてないし…。 | / .イ '=・= =・= u|
.. /,'才.ミ) (__人__) /
なんだか筋違いの批判な気がするお。 .. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
/ ̄ ̄\ まあ、批判の妥当性については
/ _ノ \ この場合、割とどうでもよくてな。
| ( ●)(●) 問題は、
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ 「宗矩の死後、僅か四十年程度で、
. | } 将軍家とも柳生家とも縁のない一般の武芸者ですら、
. ヽ } 『不動智神妙録』を読むことができた」
ヽ ノ mm
/  ̄ ̄ ̄ つノ というところにある。
| | ̄ ̄ ̄ それくらい早期に広まった、というわけだな。 - 517 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:42:37.69 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| (⌒ )(⌒) そして、世に広く広まった『不動智神妙録』は、
| (__人__) 武芸者達に大きく影響を与えて、
| ` ⌒´ノ
| } 「此書一度見れば、一度だけ上達するなり」
ヽ ヘミ|
/,` 、` -`,--` , とまで評されたそうだ。
__,---/;;;;;` `-,-/ニニ | 先の批判にしたところで、それだけ
/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,>、 /::l,_l・ ,<、__ 「剣禅一致」の僧としての沢庵像が広まっていた証左とも言えるしな。
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::<:::::::ヽ``l::::| |`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::\|:::|`-‐'/::ヽ::::| 「剣禅一致」を広めたという意味では、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l 『不動智神妙録』は、それ自体が
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ 武道史に大きな影響を与えた書だった、ということさ。
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/' `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
___
/ \
/ \
/ ⌒ ⌒ \ やっぱり沢庵和尚は大したもんだお…!
| /// (__人__) /// |
. (⌒) (⌒)
./ i\ /i ヽ- 518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 22:43:56.59 ID:i2gZtlEo
- メジャーすぎたせいで、今更沢庵とか陳腐なんだよ!とか言われた感じかな
- 520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 22:46:41.23 ID:ufx0nRIo
- >>518
あるいは流派の考え方に合わなかったのかも。
「先前先機」というのは殺人刀に近い考えのようだし。 - 521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 22:47:06.56 ID:miRMF7Ao
- 武芸者に「これ読んどきゃ間違いねえって」とか言われる本を書く坊さんか
実にロックだな - 519 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:45:12.81 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | それと、あと、沢庵が兵法を説いた書には
. | (__人__) | 実はもうひとつ『太阿記』という書もあるんだ。
| ` ⌒´ ノ
. | } こいつも原本が所在不明の上、
. ヽ } そもそも宗矩に与えられたかどうかもわからないんだが、
ヽ ノ とりあえず、写本は現存しているので、
/ く 存在が確認できるシロモノだ。
| \
| |ヽ、二⌒)
. ____
/ノ ヽ_\
/(● ) (● ) \
そっちはどういう内容なんだお? / :::⌒(__人__)⌒::::::\
|  ̄ |
\ /
., ──‐、 ざっくりと言うと、『太阿記』は、
/ \
. .| _ノ ヽ 「仏法から見た兵法者の在り方」
| ( ●) (●)
| (__人__) , -―ーっ について説いているのが特徴というところかな。
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ 『不動智神妙録』が
. ン } ゙| ̄'|
/⌒ヽ、 ノ .|, | 「仏法と兵法の一致」
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' |
| | / / r_____/ を説いているのとは少し違う感じだな。
| | / / |i 全部解説すると長くなるから、
| | ( 〆⌒'──r─≒、. 特徴的なところだけ紹介しようか、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄- 522 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:47:47.34 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『兵法者は勝負を争わず
| ._ .|_| 蓋兵法者、不争勝負。不拘強弱。
| |太| . |_| 不出一歩。不退一歩。
| |阿| . |_| 敵不見我。我不見敵。
| |記| .|_| 徹天地未分陰陽不到処直須得功』
|.  ̄ .|_|
| |_| (蓋し兵法者は勝負を争わず、強弱に拘わらず、
| |_| 一歩も出でず、一歩も退かず。
|________.|_| 敵、我を見ず、我、敵を見ず。
└─────── 天地未分、陰陽到らざる処に徹して、直に功を得べし)
____
/ \
/ ─ ─\ 結構聞いたことのあるような話だお…。
/ (●) (●) \ 「武道家は勝負にこだわらない」とか
| (__人__) | その辺りの元ネタかお?
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
/ ̄ ̄\ まあ、冒頭が漢文だから、
/ _ノ \ 引用って可能性もあるけど、
| ( ー)(ー) ひとまず、『太阿記』はここから始まる。
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ しかし、初っ端から
. | nl^l^l 「兵法者は勝負を争わない!」とか言い出すのは
. ヽ | ノ 相変わらずの沢庵クオリティだよなあ…。
ヽ ヽ く
/ ヽ \- 523 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:50:25.59 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『夫通達者。不用刀殺人。用刀活人。
| |太| . |_| 要殺即殺。要活即活。
| |阿| . |_| 殺々三昧。活々三昧也』
| |記| .|_|
|.  ̄ .|_| (夫れ通達の人は、刀を用いずして人を殺し、刀を用いて人を活かす。
| |_| 殺すを要さば即ち殺し、活かすを要さば即ち活かす。
| |_| 殺々三昧、活々三昧也)
|________.|_|
└───────
____
/ ⌒ ^\
/ ( ●) (●) これまた聞いたことのあるような話だお…!
/ ::::::⌒(_人__)⌒ヽ でもこれ、そもそもどういう意味なんだお?
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) ああ、こいつについては
. | (__人__) 後で沢庵の解説が入る。
| ` ⌒´ノ 次を見てくれ。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ mm
/  ̄ ̄ ̄ つノ
| | ̄ ̄ ̄- 524 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:52:31.73 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『通達人者とは、兵法通達の人を云ふ。
| ._ .|_| 不用刀殺人とは、刀を用いて人を斬ることをせねども、
| |太| . |_| 人皆此理に逢ひては、おのれとすくみて、
| |阿| . |_| 死漢となるが故に、人を殺すの必用なきなり。
| |記| .|_| 用刀活人とは、刀を用いて人をあひしらひつつ、
|.  ̄ .|_| 敵の働くに任せて見物せんと己が儘なり。
| |_| 要殺即殺。要活即活。殺々三昧。活々三昧也とは、
| |_| 活さうとも、殺さうとも自由三昧なりとなり』
|________.|_|
└───────
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ } つまり、
/⌒ ⌒\ | |
/( ●) (●)\ ! ! 「達人の前では、敵は身動きすら自由にならなくなるから、
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l そのまま放っておくこともできるし、適当にあしらうこともできる。
| |r┬-| | / 活かすも殺すも自由自在である」
\ ` ー'´ //
/ __ / ってことかお?
(___) /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●
| (__人__) まあ、大体そんなもんだな。
. | ノ ちなみに、ここでいう「通達者人」ってのは、
| ∩ ノ ⊃ 所謂「不動智」を得た人、くらいの意味だ。
/ ./ _ノ
(. \ / ./_ノ │
\ “ /___| |
. \/ ___ /- 525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:54:12.64 ID:oQrNGPE0
- 剣聖、剣豪クラスですな。
- 526 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:54:43.16 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『斯く自由を得たる兵法家は
| |太| . |_| 尽くの大地の人が寄りて謀るとも、
| |阿| . |_| なんとも為すよう有るまじとなり。
| |記| .|_| (略)
|.  ̄ .|_| 世界に並ぶものなしの云う事にて、
| |_| 謂ゆる天上天下唯我独尊なり』
| |_|
|________.|_|
└───────
____
/ \ …で、その達人の境地に達すれば、
/ ─ ─ \ 天上天下唯我独尊って…。
/ -=・=- -=・=- \
| (__人__) U | なんだか”アレ”が頭に浮かぶんだお…。
\ ` ⌒´ /- 527 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 22:58:06.69 ID:kJdE9ag0
- ._,iill''''"'''';;i、 ミミ巛巛ミミミ巛ミミミ巛巛彡彡ミ巛彡 _,,,,,./ _
.,l!~ ._..-''´;;;;`''―‐:、,,,.'ミミミミミミミミ巛ミミ巛巛ミ彡彡彡彡 -''''"゙゙-、 \/
'! .,i'":;;;'.;ミ´;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;´゙'',ミミミミミミミi''''''''ヽ彡彡彡彡 /゙;;;;;;;;;‐;;.;;;;;;;:;ヽ, ゙''、
.| !;:::;:;;;_'."..;.;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;.;;.;゙lljlj.iil彡-イ .'l- !; l...、f〃;:;;;;_,i;;;;;;;;;/ ;;;;;;;;;;.ヽ . i./
.!,/;;;;;;;;;;;:-;;;;;;;;;:;:;;..;;;;;;;;;,..;..;;;;;;;;'゙|../ ゙' Y'′ |;;; ̄";;;;..;;;;゙::::::;;;;;;;;;;;.;;;;;;;;:;:;ヽ `.l.
\.lレ;;;;;;;;;....゙'.;..;;:;:;;;;;;;;;;;;..´ー.;;.;;;;..;;;;'!゙!、 .゙l゙ .,/;;;;;;;;;...;;;;.;;.;::;:;../ ;.;;;;;.;;;;;;;:;:;.;;.l ゙l/
.!;;;;;;;.."ヽ.;.;:;:.;;..,,_,.;゙ゞ;;i./ ;;;;;;;,./ '| l / ;;;;;;;;;;;;.;::..;:.、;;;;'、.;;;;;;;;;;;;;:;;;;;} .l、 殺
!;;;;:;;.iiレ=,゙;;;;fi、、`''-..,,.‐;;;;、l i | ,/ .、.;;.....、;;;;.;:.'./ ;;;;、;;.;;;;;;.;;.;'l ,ii 々
.ヽ,;:;;';.l,illゞ;゙'ii、ヽ,. ..、 `'、リ ゙'l! : 'l゙'、,,,、l,,,,,,,丿 ;'!;,i‐ --,,,,,,,,,;'ll>、.;;;;.;.;;;;;;;.|,, ゙‐' 三
`'i..,,、|l \ `\`ヽ,゙ヽ、..l ゙l; ヽ | . l′/i /_.ノ゛/ ./;;;;;;;;;..'.;/ 味
.|.,゙ll´゙゙lll, \ .`-,,`--ゞ゙,゙..`_ゝ,_,|__ / /;./  ̄-─-_ />;;;;;;;;.! さ
!;.;:|li、 ゙゙ヘヾ- `-!'".._,,....,,, l ._i it二゙"''ゝ─-ー三,..!゙l;;;;;;;;;;;;'l' せ
.゙'ll!゙.'ヘ_ .`゙゙"'―''' ̄ \ |..‐~ .´`゙¨'ーー'''''゙~ .i;;;;;;;;l. て
ヽ.:;;;`'-iii、 ,__. |゙. 、 ___ ,iノ/`゙'''i:::i も
゙l;;;;;;;;;;;;;;;>;;;;!.l!⌒ .`''''''! ̄!" .`´ `゙゙'―--‐l〃;;;;;;l゛ ゛ .ら
゙|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.! |l' `'''!llll`-;;;;;;;! う
!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i, || '/;;;;;;;;:;/ ぜ
゙ー;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'|'' ̄''' ̄'''' ̄|l'!゙'" ̄ ̄ ̄'''!;;;;;;;;;;;;;;;;..;| !!!
\;;;;;;;;;;;;;;;;;! 、_. .l! ,/;;;;;;;;;;;;;;;./ ← アレ
`''i;;ヽ、;;;;;;;;;;;;;゙;;i_,,| _,,,,,..i;;;;''';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
|ヽ;;;`''ヽ;;;;;;;;;;;:::::|.;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:::::::i
,/ヽ≡二三三/l!llllllニ'!'~゙'三≡≡三二、
.,.i:;;;;丶:;:;`''-,;;三≡三三三三≡=二三,./ .::、
/ ;./ ;;;;;;::;;;;;;;`.l!!-=三≡......ニ;ミi三≡-'";.;;;;;;;;;;;;l
: ,/;;;::;:;;;;;;;.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;;;:;;:;;;:;:;;;;:;;::;ー、,,
.,/;;;;;;;;;;;;;;;;,i、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;::;;;:;;:;;:;:;:;:;:;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::;:;:;:;:;:;.;;,;.\
.../ ;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;::::;;::;:;;::;;::;:;:;;:;:;:::::::::::::;::;;;;;;::;;;;;;;;;;;;:;:;;:;;;;;;;::;;:;;;;;;;;;;;;..; \
/ .;-'、;;;;.;...;..;::;;:;;;:; l;;;;;;;;;;;;;;;;;;..;;;;;;;;;;;::;;;;;::;;;;;;;;;;;;;;;´;;;;;;;;;;;;;;;;-;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
/ ;;:;;丶;;;.;;;;;;..;;;;;;.'';;;;;;;;;..;;;;;;.;;;;;;;;;;; ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';.;;;;;;;;;;;;,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;..;;;;;;;..;:ヽ
|;;:._....;;;;;;.,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;,, _;;.;.;;;;;;;..;;;;;.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;..;;;;;;;.;;';;;;;;;...;;;;;;; ‐ヽ丶;;;..;;;;;;;;;;;....;;;;;;;.;;;
「斯く自由を得たる兵法家(やる夫イメージ)」 - 528 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:00:19.70 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ノ( _ノ \ だから「通達者人」って言ってんだろ!
| ⌒(( ●)(●) これは(多分)違うッ!
.| (__人__) /⌒l
| ` ⌒´ノ |`'''|
/ ⌒ヽ } | |
/ へ \ }__/ / / ̄ ̄\ チガウノッ!?
/ / | ノ ノ / ●)) ((●\’, ・
( _ ノ | \´ _ ( (_人_)’∴ ), ’
| \_,, -‐ ''"  ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ て
.| 三三三三三三三三三 ノ (
ヽ _,, -‐ ''" ノ ヽ r'" ̄
\ , '´ し/.. | J
\ ( / |
\ \ し- '^`-J- 529 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:02:16.57 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 『太阿は天下に比類なき名剣の名なり。
| ._ .|_| 是の名剣は、金鉄の剛きより、玉石の堅きまで、
| |太| . |_| 自由に伐れて天下に刃障になる物なし。
| |阿| . |_| 彼の無作の妙用を得たる者は、
| |記| .|_| 三軍の元帥も、百万の強敵も、
|.  ̄ .|_| 是れが手に対ふるもの無きこと、
| |_| 猶彼の名剣の刃に障るものなきと一般なるが故に、
| |_| 此の妙用の力を太阿の剣と名づくるなり』
|________.|_|
└───────
., ──‐、
/ \ さて、続きだ。
. .| _ノ ヽ ここで表題の「太阿」が出てくる。
| ( ●) (●)
| (__人__) , -―ーっ ここでいう「太阿」というのは、
| ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄ 仏法で言う「太阿の剣」の事を指す。
. ン } ゙| ̄'| まあ、何でも切れる剣の象徴とでもいうところか。
/⌒ヽ、 ノ .|, |
__/ ノ \_ィ ´ー‐ィ' | で、「無作の妙用」…つまり「不動智」を得れば、
| | / / r_____/ 太阿の剣で切れないものがないように、
| | / / |i 誰にも妨げられない働きが出来る、ということだな。
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____
/ \
/ _ノ ヽ、_.\ …結局それって、言ってることは
/ (●) (●) \ 『不動智神妙録』と一緒なんじゃないかお?
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /- 530 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:04:31.53 ID:kJdE9ag0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 『学之者莫軽惣(これをまなぶものけいこつかなれ)とは、
| |太| . |_| 此の剣の妙理を学する者は、
| |阿| . |_| たやすく粗相なる観念をすることなく、
| |記| .|_| 高く精彩を励まし、切に工夫を着けて
|.  ̄ .|_| 片時も怠ること勿れ(なかれ)となり』
| |_|
| |_|
|________.|_|
└───────
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \ いや、この『太阿記』の場合、
(⊃ ( ●)(●) 『不動智神妙録』と違い、兵法者(剣士)に対し、
| (__人__) 兵法(剣)を学ぶ上での心得を示して終わるんだ。
| ` ⌒´ノ
| } \ 「剣を学ぶ者は、
/ヽ } \ 簡単に粗雑な考えを持つことなく、
/ ヽ、____ノ ) 心を気高く保ち、修行を怠らないように」
/ . | _/
| / ̄ ̄(_) というところだな。
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)
(ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \ なるほど…。
/( ●) (●)\ ) 『不動智神妙録』は、宗矩宛だから、
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\ それに必要な分だけ書いてた感じだけど、
| (⌒)|r┬-| | こっちは不特定多数の読み手を想定した感じだお!
,┌、-、!.~〈`ー´/ _/
| | | | __ヽ、 / うまいこと結論に持っていったわけだお。
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄- 531 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:06:58.71 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (●)(●)/;;/ まあな。
| (__人__)l;;,´| 『太阿記』は『不動智神妙録』と比べると
| ./´ニト━・' .l 些かマイナーだが、
| .l _ニソ } そこで説かれている説は、
/ヽ、_ノ / やはり「武道」に通じる内容になっている。
__/ / ノ__
/ / / `ヽ. 畑違いの兵法で、これだけのものを
/´ ./ ,. ヽ. 二本も書けるってのは、やはり大したもんだよ。
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
___
/)/ノ ' ヽ、\ しかし…『不動智神妙録』の方は大体わかるけど、、
/ .イ '(●) .(●)\ この『太阿記』はどういう経緯で書かれたんだお?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /- 555 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [sage]:2009/11/25(水) 21:35:15.65 ID:p118vio0
/ ̄ ̄\
/ ノ \\ そいつはわからん。
| .(●)(●) | ただ、推測ではあるが、寛永十三年(1636)、
. | (__人__) | 将軍家主催で「沢庵に話を聞く会」というようなものがあり、
| `⌒´ | ) ;;;;) ここで宗矩が家光の命により、
. | | .) ;;;;) 「沢庵と兵法についての話をせよ」と言われている。
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´ そして、この時の話を、書にまとめて提出した、
. / ∩ ノ)━・' という記録が残されているから、
( \ /|_ノ ヽ 可能性として、この時の書が『太阿記』なんじゃないかと思う。
. \ "" /_ノ |
\ /___/
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) あと、『兵法家伝書』の記述を読むと、
| (─)(─) /;;/ 『不動智神妙録』だけではなく、『太阿記』の内容とも
. | (__人__) l;;,´ リンクする部分がいくつかあるんだ。
| `∩_ノ)━・'
. | |_ノ …もしかすると
/ヽ | |_ 『不動智神妙録』と合わせて渡された可能性も
| \_/ ノ ヽ あるかもしれないな。
\ /_| |
| \ / _/
ふーん。
____ でも、ネットや資料で調べてると、
/ \ 「太阿記は小野忠明に与えられた」って説が
/ ─ ─\ ちょこちょこあるけど、そっちはどうなんだお?
/ (●) (●) \
| (__人__) | ___________
\ ` ⌒´ ,/ .| | |
ノ \ .| | |
. /´ | | |
| l | | |
ヽ -一ー_~、⌒)^),-、 .|_|___________|
ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニニニ _|_|__|_- 533 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:13:20.00 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ それについては、
| ( ー)(ー) 何でそんな説がまだあるのか俺の方が知りたいよ。
. | (__人__) 正直、史料を見る限りでは、
| ` ⌒´ノ
.l^l^ln } 「それはない」
. ヽ L }
ゝ ノ ノ という結論が妥当だと思うんだがな。
/ / \
/ / \
. / / |ヽ、二⌒)、
ヽ__ノ
____
/ \
/ ─ ─\ あらま、言っちゃったお。
/ (●) (●) \ ちなみにその論拠はどの辺にあるんだお?
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /- 534 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:16:07.97 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \ だって…沢庵の初上府は
. | ( ●)(● ) | .寛永六年(1629)…紫衣事件の時だけど、
. | (__人__) │ 忠明はその前年の寛永五年(1628)に
| `⌒´ | 死んでるんだぜ?
. | |
. ヽ / それまでの事績を見る限りでも、
ヽ / 忠明と沢庵に接点はないし、
> < そうすると、相手が死んでるんだから、
| | 与えようがないだろう?
| |
____
/ _ノ ヽ_\
. / (●) (●)\ …なるほど。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \
ヽ L |r┬-| | でも、実は忠明じゃなくて、
ゝ ノ `ー‐' / 息子の忠常だったとか、そういうことはないかお?
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))- 535 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:20:25.04 ID:kJdE9ag0
それもなあ…。
/ ̄ ̄\ 今、紹介した通り、
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 『太阿記』の文面は不特定多数を
| ( ●)( / .\` 、 . // / 想定した文面になっている。
. | (__人/ \ヽ、,.// ../
| ` / ``77 / もし、『太阿記』が
. ヽ / / / / 特定の誰かに与えられたものなら、
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./ 『不動智神妙録』のように、
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / それとわかる文章になってる方が妥当だろ。
|. \ 〈\.\,〉 `, f
| . \ (ヽ ヽ `.. | というか、忠常にも
| .\ \ ノ 沢庵との接点はないんだけどな。
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \ ふーむ…。
. | ( ●) ⌒) | そうなると、逆に何でこんな説が出たのか、
. | (__ノ ̄ / そっちの方が気になってくるところだお。
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ- 556 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [sage]:2009/11/25(水) 21:38:26.50 ID:p118vio0
/ ̄ ̄\ まあ、ぶっちゃけた話、
/ - - \
| (●)(●) | 「柳生と小野は同じ将軍家剣術指南役なんだから、
| (__人__) | 和尚の書が二つあるなら、一つずつ与えられたんじゃないの?」
| `⌒´ │
| .| というところからの「後世の思いつき」だろうな。
ヽ /
ヽ ノ …誰もおかしいと思わなかったのかね?
_/ l__
__ゝ_/ ヽ
\___ノ' ヽ⌒)
____
/ ノ \\ いや、一応、同じ将軍家剣術指南役ってのは事実だし、
/ (●) (●)\ なら、同じように「剣術の書」を与えられても、おかしくない、
/ ∪ (__人__) \ …って思うのはそれほど変でもないと思うお?
| ` ⌒´ |
\ /⌒)⌒)⌒) //⌒)⌒)⌒)
ノ | / / / (⌒) ./ / /
/´ | :::::::::::(⌒) ゝ ::::::::::/
| l | ノ / ) /
ヽ ヽ_ヽ /' / /
ヽ __ / / /- 537 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:26:54.48 ID:kJdE9ag0
/ ̄ ̄\ それって剣の視点だけでしか見てないじゃねえか。
/ _ノ \ 沢庵は、「剣禅一如を説いた僧」って以前に、
| ( ●)(●) そもそも「宗矩の友人」なんだぜ?
| (__人__)
| `⌒´ノ 現代で例えれば、
| } 同じ会社の社内のクラブで
ヽ } ( コーチもやってる取締役部長と係長がいて、
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 部長の古い友達の坊さんが、
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 何故か部長にあげたのと別のものを用意して、
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) 一面識も無い係長にもあげた、と言うようなもんだぞ。
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| そんなことがあると思うか?
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ | おかしいだろ、常識的に考えて。
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
____
/ \
/ \ …やらない夫、
/ \ 現代に例えると、ミもフタもないお…。
| \ ,_ |
/ u ∩ノ ⊃―)/ まあ、十兵衛の逸話の時と同じで、
( \ / _ノ | | 「剣禅一致を説いた沢庵和尚」という評判が
.\ “ /__| | 確立した後で作られた話ってのは、ありそうなことだお…。
\ /___ /- 538 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:29:02.46 ID:kJdE9ag0
ま、ともあれ、ちょっと延びたけど、
今回の話はこれで終わりだ。
これでやっと外伝の終わりが見えてきたなあ…。
/ ̄ ̄\
/ ⌒ \
| ( -)(-)
. | (__人__) / ̄ ̄ ̄\ まったくだお…。
| u. `⌒´ノ /_ノ ヽ. \ なんとか次で終わらせたいもんだお…。
| } /(-) (-) \
. ヽ | | (__人__) u | これからどうするお?
_/⌒ヽ ィ \ /
i'⌒゙l | l \ / ̄  ̄ ̄)___
| |. | | ト \ / // /'./ / 〃 ⌒l.
| | ( " ̄⌒ヽ、 |_" ̄ ̄⌒ヽ、 _____/⌒\./ / し'_|;;;;;;;;;;;;|
|.  ̄ ̄ ̄ ̄|ソ,),) ̄`ヽ ̄⌒ヽ|,),)ソ .l'⌒゙l ( ゙̄^ ヾ /⌒ l\ / |⌒゙|;;;;;;;;;;;;;|
| l .| y |_ィ | .| | |──=`──‐/ /────| |;;;;;;;;;;;;;|
| | .|.| | | | | | | ノ_ / | |;;;;;;;;;;;;;|
| | |___| |__| | | | iヘ__ソ | |;;;;;;;;;;;;;|
|_______.|___(__゙)__{___゙)_|__|__|_______ ̄_______.|__|;;;;;;;;;;;;;|- 539 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:31:04.01 ID:kJdE9ag0
そりゃお前、カラオケに決まってんだろ!
俺はまだ1曲しか歌ってないんだからな!
腹ごしらえはパセラでハニトーにするぞ!
それならやる夫も受けて立ってやるお!
/ ̄\ 80年代しばりで朝までやるんだお!
,---、 / \ ,----、
| l | | | | ,---、 __ ,----、
゙| l' | | ヽ / | l / \ | |
| | | } l | ゙| / \ヽ /
| | ヽ } / / | | l |
、 \_ ノ / / | \ / /
\ '---´ / 、 \ ´ /
\ ィ \ ィ
| | | |
| | | |
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| l\ \ / / | |
| | \ | / / | |
| | / / \ ヽ, / /
| | < ヽ \__/〈 ヽ
L______ヽ \_/ `゙‐-‐'"
【やる夫で学ぶ柳生一族 外伝その3・後編4「活人剣・治国平天下の剣、その礎(沢庵・不動智神妙録)」】完- 542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 23:33:36.85 ID:oQrNGPE0
- お疲れさまです。そういえばカラオケの中だったな。
- 540 :やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編4) [saga]:2009/11/23(月) 23:32:01.81 ID:kJdE9ag0
- どもども、本日もお疲れ様でアリマス。
お付き合い、ありがとうございました>皆様
なんだか二日連続の投下になってしまいましたが、
どーにかこーにかまとまって一安心。
なんとか次回でこの外伝を終わらせて、
えー加減本編に戻りたいところでアリマス。
なんというか、我ながら趣味丸出しの外伝になってしまい、恐縮の至り。
ただ、来週、再来週と仕事以外の別用があるので、
果たして更新できるかどうかまだ謎であり、ううむぬぬ。
悪くすると、今年は外伝終わらせて終了の可能性もあり、
できればそれは避けたいところでアリマス。
なんとかしたいところ。
ちなみに一人カラオケは当方も試しにやってみて
なかなか愉快痛快だったので、またやろうかと。
昼休みにちょこっとできるのがいい塩梅で砂。
それではではー。 - 541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 23:32:54.33 ID:nAHuVwAo
- 乙乙!
じっくりのんびりいきましょうぜ~ - 543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 23:33:51.25 ID:l49LBIUo
- 乙でした~
ガンバってくだせえ - 550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/24(火) 01:01:14.99 ID:G29Ptowo
- お疲れさまでした。
ネタがおおいなぁ。 - 548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/24(火) 00:37:05.00 ID:jSclGZs0
- 乙でした
>>502
>上唱は猿楽の様に申し候由
自分もよく分からなかったので、
「上手い詠い方は、猿楽(能の原型)の様に歌うそうです(貴殿の物とは違って)」か、
「上述の一件で、貴殿が猿楽のように(能とも言えぬ様に)歌ったと言われております」
=・ 能の謡を猿楽のように謡った
だと思いました。上だとよく分からないので、下の方か。 - 551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/24(火) 03:49:31.60 ID:oESRarwo
- 乙でしたー
「猿楽」はこの時代、能や狂言をトータルとして呼ぶ言葉です。
能の事も普通「猿楽」もしくは「猿楽能」と呼んでいました。
能、狂言を「猿楽」と呼ばなくなったのは明治になってから。
外国人に能を説明する時「モンキー」と言う言葉が入っていては誤解される、
という理由が大きかったそうです。 - 557 :1 [saga]:2009/11/25(水) 21:41:07.90 ID:p118vio0
- >>548
>>551
ありがとうございます。
とりあえず、今んトコ当方としては、
>「上述の一件で、貴殿が猿楽のように(能とも言えぬ様に)歌ったと言われております」
>=・ 能の謡を猿楽のように謡った
と解釈し、転じて「お前、変な謡い方すんなよ!」という意図かなあと。
当時の能が、現代でいえばカラオケみたいなものであるという話はありますが、
すると、この説教は「裏声で歌うのキモいから止めれ」とか「替え歌ばっか歌うな」あたりなのかなあ、と。
でも、当時の「猿楽」が「能」も含めた意味だとすれば、
この辺の文章も解釈変わりそうですし、謎でありま砂。
まあ、なんにしても、褒めてる流れではなさそうですが。 - 562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/26(木) 05:12:49.82 ID:fdrIG.ko
- >>557
根拠があるわけではないのですが
> 上唱は猿楽の様に申し候由
これですが、もしかすると幸若舞などの歌を、能の節回しで歌った、と言うことかもしれません。
幸若舞のものが能に取り入れられている、というものはよくあるのですが、これは節回しが
かなり違います。
例えば、信長が愛唱した事で有名な敦盛ですが、ドラマなどで普通使われているのは
http://www.youtube.com/watch?v=0I67fdId6QY
こちらですが、この節回しは江戸期に成立したもののようです。
で、実際に信長が歌ったであろう敦盛は幸若舞のもので
http://www.youtube.com/watch?v=2UQPxDOwexw
こちらになります。
聞き比べていただければ解りますが、節回しはかなり違います。
沢庵和尚は、このような節回しの違いについて指摘したのかもしれません。 - 563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/26(木) 08:37:28.84 ID:zaZrN/Ao
- 案外、クラウザーさんの「お前の能など俺の足元にも及ばぬわ」っていう自慢だったり
- 568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/26(木) 21:50:57.58 ID:RS1.TmE0
- >>557
能楽に改称されたのは、明治14年「能楽社」の成立以降の様ですね。
元々は舞を伴う芸能のことを「能」といい、田楽の能、猿楽の能、幸若の能とあったのが、
後年猿楽の能だけが残ったということです。
能楽社の成立に伴って新設された用語という訳ではない様で。
江戸初期なら、まだ幸若の能なども現役で、能=猿楽の能とは限らなかったでしょうが。
『日葡辞書』では、ウタイを「能楽、またはその他の所で歌われる謡、または詩」としてい
ますが、やはり数ある「能楽」の内、その場に相応しからぬ猿楽の能を歌ったから、駄目だ
ということか。
>>562
猿楽は庭の者、舞々(幸若舞)は縁の者と、併称されて流行を分けた様ですね。
田楽とも対抗したといいますが、鑑賞され、時に貴族も踊ったとはあるものの、能や幸若の
様に、普段から武家に舞われてはいなかった模様(集団性ゆえか)。 - 570 :1 [saga]:2009/11/27(金) 22:01:19.58 ID:erpSwe.0
- >>562
>>568
なるほど、確かにかなり違いま砂。
後者(幸若舞)の方がずっと歌っぽいです喃。
民謡チックというか、○○節とかその辺に近い印象を受けました。
ご紹介ありがとうございます。
仮に前者後者どちらかが主体のところで、もう一方の歌い方をしだしたら、
確かに「何でこの人、一人だけ節回し違うの?」とか言われちゃうよなあと。
…もしかして件の和尚の説教は、歌い方が変とかも含めて、
「お前、自分が好きな歌い方ばっかすんなよ!」ってことだったんじゃろか、と思ったり。
つまり、超訳するとこんな塩梅。
/ >>1
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沢庵和尚・宗矩を叱る(イメージ図) - 552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/25(水) 20:46:21.28 ID:T0/FhUk0
- このシリーズに出てくる坊さんは皆ロックだなwwwwww
続きはこちら
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